仕事をするうえでも、文章を書くにしても、労働事案を闘うにしても段階性があります。あらゆる問題を解決するにも段階性があります。材料をそろえ、問題の性質を把握し、解決のための必要条件をつかみ、それから問題の解決に取り組みます。
この段階性が理解できていないと、上司のパワハラに腹を立てて上司を殴り、懲戒解雇されたり、退職強要に怒る感情的な労働相談も実際にあります。
労働事案では、何事も最悪のことを考慮して、まず証拠を集めます。それから問題の解決に取り組みます。ユニオンは労組法に基づいて段階性を踏まねばなりません。まず団体交渉を申し入れないと、労組は交渉も宣伝もできません。話し合いが決裂して、初めて裁判や調停や、地労委に持ち込めるのです。
ところが労働相談に来て、すべてを省き証拠も開示せずに「裁判がしたい」という人が少なくありません。労組に問題解決のために入るのではなく、弁護士を紹介するためだけに利用しようとする人も少なくありません。闘いは段階性を踏まえないと勝てません。どのような証拠があるのか、ユニオンがどのような証拠をそろえたらよいのか、それらを抜きに、すぐ裁判というのでは絶対に勝てません。
ある人がユニオンに労働相談にきて、事情を説明したうえで「勝てるか」と聞いてきます。私が「勝てる」というと、この人物はユニオンに隠くれて弁護士のところに行き、裁判をやろうとして、弁護士に「負けるといわれて」ユニオンに話が違うとねじ込んできます。
私が「勝てる」と言うのは、本人がユニオンに加入し、ユニオンが証拠をそろえ、段階を踏まえて闘えば勝てる、という意味です。つまり世間には、物事の段階性を理解できない人が実際にたくさんいるのです。
とりわけ解雇事案やパワハラ事案では段階性を踏まえずには絶対に勝てません。例えば解雇事案では、ユニオンから内容証明郵便で解雇は認めない、働く意思があるが混乱を避けるため就労は見合わせることを、書面で表明しておかないと未払い賃金を請求できません。
ところがユニオンの指導に従わず、すぐに失業保険を受給しようとする人もいます。失業保険は仮需給にしないといけない、という意味が理解できない人もいます。
仕事ができない人は、このような物事の段階性を理解できない人です。何事も問題を解決しようとすると、その問題解決に必要な条件は何か?何が阻止力となって問題が生じているかを調査し、研究し、理解しないと、その問題を解決できないのです。
パワハラでうつ病になり、休職していて治癒したら就労可能の診断書を出しておかないといけません。ところがその診断書を出しているのに、指導に従わず、パワハラを受けるのが嫌だと出勤しない人がいます。働かないと未払い賃金が請求できないだけでなく合法的に解雇されます。実際に解雇され裁判で敗訴した例があります。
つまり物事の段階性を理解できない人は、仕事であろうと闘いであろうと必ず失敗します。指導にも従いません。つまり我々のこの社会には法律的枠組みがあり、また問題(矛盾)には現象と本質が必ず違うので、調査・研究が欠かせず、したがって段階性を踏まえて、必要なことを一つ一つ踏まえて、物事を着実に進めていかねば何事も成し遂げられないのです。
つまり仕事であれ、研究・科学実験であれ、階級闘争(=労働問題)であれ、重要なのは必要条件を一つ一つ実現していく科学的態度であり、思考方法です。これを組合員の皆さんには、ぜひ認識してほしいと思っています。
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