社会にパワハラが激増する背景には、冷戦終了後の「新自由主義」、すなわち強欲の資本主義の流れがある。リストラ経営が普通となり、役立たない社員は追い出す、そこから強権的な労務管理が普通のことになった。
営業成績を上げるために社員の認識を整頓すのではなく、脅し、脅迫で社員を追い詰める手法が広がることになった。新世紀ユニオンの組合員の経験では、上司が「殺すぞ!」と恐喝したり、実際に職場で殴るけるの暴力をふるう例もあった。また職場でデマ・中傷で孤立させられ、自己退職に追い詰める手法も数多い。
パワハラによって被害者は精神的に苦しみ、精神疾患を患うことになる。企業は有能な社員を失うだけでなく、企業イメージを悪化させ、加害者は反省することなく次の被害者を生み出し続けることになる。職場の雰囲気は悪化し、空気は劣悪化し、働くことが苦痛になり、職場をやめる社員が増えることになる。
営業社員の成績を上げるのは典型的手法を提示し、社員の認識を高める努力が必要なのだが、実際には大声でのハッパ指導が多いし、それが行き詰るとパワハラになる。そしてそれがさらに職場のやる気を奪っていくのである。これはまさに悪循環というべきことである。認識論も理解しないバカな上司が増えているのである。
大学でのパワハラは、研究妨害や、研究略奪、妬みや競争相手の追い落とし、などが目的となるので一層厄介だ。外国人教員の話によると「日本は教授の権限が強すぎる」といい、「自分は国に帰る」と日本から去った。これは優秀な人材を生かすどころか失っているとしか言いようがない。
フランスの精神科医マリー=イルゴイエンヌは「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」と語っている。ハラスメントが、今日本の企業と大学・病院・研究組織を人と組織の面から劣化させ、つぶしていることを指摘しなければならない。
ハラスメントを無くすには法律で精神的暴力を刑事事件とする法整備が必要であり、同時に学校教育で「人権教育」を徹底的に行う必要がある。管理者が人材の多様性の重要性を理解し、個性の多様性を認め、同時に人を認識面から成長するように、科学的に指導するには認識論(哲学)を学ぶ必要がある。
指導と被指導の関係が、権力を利用した人格の支配となれば、それは指導と被指導の関係ではなく、支配と服従の関係になる。これでは組織内に生き生きとした局面は生まれず、したがって成果も上がるわけがないのである。
ゆえに、真に組織の発展を願う最高指導者は、権力を持つ指導者・管理者のパワハラを、最も厳しく禁ずるのである。ひとたび上司と部下の関係が「支配と服従の関係」になると、そこからは新しいアイデアも、新しい改革=改善も生まれないのである。パワハラを日本政府が法律で厳しく禁止しないのは、立法府の役割放棄というべきである。
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