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新世紀ユニオン発行のニュース

男女賃金格差で日本はG7の中で最下位

 世界各国は、今も女性の賃金が男性に比べて低いという共通する課題に直面しています。OECD=経済協力開発機構は去年までの入手可能なデータをもとに男女間の賃金格差を比較しています。それによりますと、OECD加盟38か国の平均では男性の所得と女性の所得の差は11.9%だとしています。

 最も賃金格差が少ないのはベルギーで1.2%、次いでコスタリカが1.4%、コロンビアが1.9%、そしてノルウェーが4.5%となっています。一方、G7=主要7か国でもドイツが13.7%、イギリスが14.5%、アメリカが17.0%とOECD平均よりも格差が大きくなっています。

 日本は男女間の賃金格差が大きく、21.3%と主要先進国G7の中で最下位となっています。

 2023年のノーベル経済学賞の受賞が決まった米ハーバード大のクラウディア・ゴールディン教授(=女性)は労働市場における男女格差の原因についての研究が評価され今年のノーベル経済学賞を受賞しました。

 彼女は、受賞の会見で日本の女性の労働参加率について「10~15年前は本当に低かったが、今やアメリカより高い」と指摘。「驚くべきことをやってのけた」と評価した。そのうえで、労働時間や賃金などの面で男女格差が残るとしてさらなる改革の余地があるとの認識を示しました。

 ゴールディン氏はさらに日本の女性の労働時間が短いと指摘し、「男性のように終身雇用されるような仕事に就いていない。女性を労働市場に参加させるだけでは十分ではない」と述べました。つまり女性がパート労働などの低い賃金の短時間のパート労働しかやらせてもらえない点を改善点として指摘しました。

 日本の女性労働者であるなら少し勤続が長くなると、上司が「いつ結婚して辞めるのか?」「長く働きすぎ」と退職を促された経験を持っています。また女性は仕事でも差別され、お茶くみや、単純な仕事しかやらせてもらえません。

 賃金は男性よりも3割から4割も低く、男であるというだけで無能な男性が昇給昇格しても、女性は差別され続けます。

 日本は憲法や法律面では男女平等でも、実際には非正規雇用や、一般職と専門職で事実上差別される仕組みになっています。今年のノーベル経済学賞を受賞したクラウディア・ゴールディン教授がこうした日本の法制度は見せかけだけ平等であっても実際面で男女差別が温存されている点を改善点として指摘したことは大変重要な事であり、高く評価したいと考えています。

 新世紀ユニオンはこれまで「男女の賃金差別反対」「同一労働同一賃金の厳守」を求めて活動してきました。また非正規労働や一般職という職場の制度で、差別が今も温存され、女性労働者が安上がりの使い捨ての労働力として位置づけられていることに反対してきました。

 この運動は女性自身が声を上げなければなりません。ユニオン・ニュースへの投稿などで世論を高めていく必要があります。

 女性労働者が職場から声を上げる必要性があります。いつまでも男女差別賃金を温存させてはいけないのです。女性組合員を拡大し男女差別賃金、差別雇用制度を無くさねばなりません。

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解雇事案での賃金請求の請求原因について

 新世紀ユニオンの過去の事案で、組合員がユニオンの指導に従わず、結果未払い賃金請求が認められなかった例がいくつかあります。

<事例1>違法解雇されたので、労働審判の申請書提出まで雇用保険の仮受給の手続きを控えるよう指導したのに、「自分はもうこの会社で働く意思がない」と失業保険の受給手続きをしたため、解決金がわずかな金額になった事案。

<事例2>パワハラでうつ病を発症した事案で、ユニオンが一度原職に復帰して録音をするように言ったのにその指導に従わず、原職復帰を拒んだため、労働者の側が労務を行うことを拒絶したとみなされることとなって解雇され、未払い賃金の請求権が裁判で認められなかった事案。
などがあります。

<解雇後の賃金請求原因は次のとおりです>

(1) 労働契約締結の事実があること
(2) 就業規則で賃金の締め切り日、支払い日のさだめがあること
(3) 就業規則で賃金額の根拠規定があること
(4) 賃金請求期間の労務提供が不可能になったこと
(5) 労務提供の履行が使用者の責めに帰すべき理由があること
(6) 請求している金額で労使の合意が成立している場合(労働契約時の金額と相違する場合)

 解雇事案においてこの中で重要なのは(5)の使用者(会社)が解雇の意志を表明し、労務の受領拒絶の意志を明確にしていることです。

 先に示した<事例1>は失業給付の手続きが、使用者の解雇を追認し、働く意思がないことであり、そのために未払い賃金の請求権が認められなくなった事例です。

 <事例2>は業務の履行不能が使用者側には無く、労働者側にあるので未払い賃金が認められませんでした。つまり就労の意志、就労の能力を失っているときは使用者に帰責性がないと判断されます。

 つまり、労働者は会社から解雇された場合でもこれを認めず出社し、会社側が労務の受領を拒絶する事実を録音しておくことが必要なのです。

 要するに労働者側は働こうとしたが、会社側が労務の受領を拒絶したことが重要な事なのです。労働者の就労の履行不能の理由が会社側にあることが、未払い賃金請求権の行使では重要なのです。

 解雇事案では解雇の無効が証明されなければなりません。解雇権濫用の評価事実、もしくは労基法違反の解雇の強硬法規に違反しているなどを主張しなければなりません。

 以上のことから、解雇事案ではユニオン指導部の指導を事案当事者の組合員が守るかどうかが決定的なのです。

 指導に従えば解決金500万円が、指導を拒絶したために解決金ゼロと言うのが事実あるのです。
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職場の主要な矛盾の解決を優先する重要性

 職場には様々な矛盾があります。上司との矛盾、同僚との矛盾、諸党派との矛盾、顧客との矛盾、これらの矛盾の内何が主要な矛盾かを判断することが極めて重要です。副次的な矛盾が激化して、会社が処分をしてくる場合があり、この場合副次的矛盾が主要な矛盾に転化する場合もあります。

 解雇事件に乗じK野党が攻撃してくる場合もあれば、K野党との争いが、解雇運動を誘発し、主要な矛盾に転化する場合もあります。大学側が気に食わぬ先生を解雇するために学生を手先にして、パワハラをでっち上げてくる場合もあります。つまり副次的矛盾が実は主要な敵対的矛盾である場合も少なくありません。

 ある大学で暴力事件があり、大学側と管理責任で再発防止を求めた争議となったところ、「K野党」の人たちが、組合員の先生に対し、でっち上げのパワハラの訴えを相談窓口にしてきたことがありました。これはA先生が右翼団体の表彰を受けたことが攻撃の動機でした。

 このような場合、大学側との争議の終結=和解を進めることが、副次的矛盾を解決することにつながります。そこでユニオンは大学に対し和解案を提起し団体交渉を申し入れましたが、A先生は認識論を理解していないため、自分から団体交渉をドタキャンしました。

 これで大学側との主要な矛盾も、「K野党」との副次的矛盾も解決できなくなりました。このように大学の先生でも認識論を理解できない人がいます。観念論では科学的な研究などできるわけもありません。

 職場の矛盾の中で、何が主要な矛盾かを判断することはユニオンの指導部の仕事ですが、それを信じることができない組合員は雇用を守れなくなります。労組は団体交渉をつぶされると事案の解決ができなくなることさえ理解できない人がいるのです。

 職場での矛盾は、主要な矛盾と副次的矛盾があり、主要な矛盾は敵対的矛盾であり、闘争を通じることで解決できます。副次的矛盾は人民内部の矛盾であり、批判と自己批判で解決できます。

 ところが、職場では経営側が、同僚や学生を手先に攻撃や陰謀を仕掛けてくることがあり、また同僚がライバルを蹴落とすために会社の手先として攻撃に加担する場合があり、職場の矛盾関係は複雑です。

 このような場合、主要な矛盾の解決を優先するのが重要であり、同時に相手かまわず裁判を仕掛けるのは、間違いです。物事には段階性があり、主要な矛盾を解決することが、副次的矛盾の解決を容易にするのです。つまり主要な矛盾の解決を優先しなければなりません。

 何が主要な矛盾か、何が副次的矛盾かを分析するのは、職場での具体的事実(=現象)から慎重に分析しなければなりません。そのためにはユニオンの指導部との認識の統一が重要であり、指導部と組合員の「ほうれんそう」(=報告・連絡・相談)が重要です。日本の大学では認識論を教えません。矛盾の分析方法・解決方法を教えないのです。

 組合員の皆さんには、ユニオンの指導部と団結し、雇用を守る闘いを通じて認識論を身に着けてほしいと思っています。
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労働者との賃下げの場合の争点

 労働者への賃金減額の方法は様々な方法があります。それは以下の方法です。

(1)就業規則の賃金査定による減額
(2)就業規則の変更による賃金減額
(3)労働協約改定による賃金減額
(4)業務命令の等級変更による減額
(5)懲戒処分としての賃金減額
(6)労働者との合意による賃金減額

 今回はこの(6)労働者との合意による賃金減額の争いで何が争点=問題となるかを書きます。

 使用者が労働者の合意を得て、賃金を減額することは労働契約法8条で認められています。そこで問題となるのは労働者の賃金減額の承認(=同意)が自由な意思に基づくものか?それとも強要されたものか?が争点になります。

 使用者側が賃下げの同意を求める際、「受け入れないと解雇する」旨脅かして受け入れを迫る場合が多いのです。この点について判例は、すでに発生している労働契約上の賃金債権を放棄する旨の意思表示が、労働者の自由な意思に基づいてされたものであるかが、重要な点となります。(最二小判昭和48.1.19シンガー.ソーイング.メシ―ンカンパニー事件)つまり労働契約書は使用者も守らねばなりません。ですから現状の労働契約で定められた賃金債権の放棄が労働者の自由な意思で行われたかが重要となるのです。

 他の多くの判例からも、労働者との合意による賃金減額の承認(=同意)が自由な意思に基づいてされたものであるかが、重要となります。つまりこの賃金減額が経営上の、どのような理由で行うかの説明がなされたか?賃金減額が一人だけなのか?それとも全従業員に及ぶのか?などの説明の内容も重要です。

 さらに詳しく説明すると、賃金減額の労働契約書に署名さえさせれば、賃金減額の承認(=同意)が得られたのではなく、労働者の受ける不利益の内容・程度、労働者により当該変更が行われるに至った経緯、及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供・説明が行われたか、そのうえで労働者の自由な意思に基づいて賃金減額の承認(=同意)が行われたと認めるにたる合理的な理由が客観的に存在するか、という観点から判断されるべきでなのです。

 賃金を減額した労働契約書に署名すれば賃金減額の承認(=同意)が得られたというものではないことを押さえておかねばなりません。(判例日新製鋼事件)

 まとめると、すでに発生している賃金債権の放棄と将来の賃金減額の双方について、労働者の自由な意思においてされたことの合理的な、客観的な理由が必要なのです。

 労働者の賃金減額の承認(=同意)が詐欺・脅迫(民96条)によるものである場合は、この意思表示を取り消すことができます。また錯誤によるものである場合は無効を主張できます。以上参考にしてください。
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労働時間についての必要な知識

 労働時間とは、労働者による労働契約の履行として、労務提供がされている時間を言います。労務提供義務の観点から、①上司の指揮命令が存在したか ②業務性・職務性が重要となります。

 労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。ですから指揮命令下に置かれていたかで客観的に決まります。裁判所は労働者が勝手に業務に従事した時間は労働時間ではない、との判断ですので注意が必要です。

 ですから所定労働時間外の就業に労働時間性が認められるには、上司の指揮命令があったか? あるいは「黙示の指示」が必要となります。

 「黙示の指示」とは、時間外労働が常習化し、使用者がそれを知りながら黙認している場合を言います。残業をするときに会社側が申告を求め、申告がない場合、残業と認めない場合、つまりサービス残業を知っていた場合「黙示の指示」とする判例があります。

<一人勤務の店舗従業員の労働時間>

 この場合、休憩時間なしでの労働であるとして、休憩時間も自由利用が阻害されているので労働時間となります。

<仮眠時間が定められている場合>

 仮眠時間でも労働からの解放が保障されていない場合は、仮眠時間も労働時間となります。

<持ち帰り残業の扱い>

 持ち帰り残業は原則的に労基法上の労働時間とは認められない。ただし上司が持ち帰り残業を指示し、これを承諾し、自宅で仕事をした場合は、例外的に労働時間となる。この場合、パソコンのログアウトの記録、メールの記録だけでは証拠は不十分で、成果物や作成・変更履歴などで具体的に立証しなければなりません。

<会社の研修や行事への参加>

 所定労働時間内に行うべき研修については、それが時間外に行われても労働時間性が認められます。労働安全衛生法59条・60条の安全衛生教育については時間内に行うことを原則とする。ただし研修が時間外で、参加が強制でなく、自由参加である場合は時間外労働とはなりません。

 <待機時間や準備時間は労働時間>

 労働者が実際の労働に参加していない時間でも準備時間、新世紀ユニオンの経験で言えば料亭の中居さんが着物に着替え、化粧する時間は労働時間となりました。会社外での作業で、材料の積み込みや準備に要する時間も労働時間となります。マンションに住み込みの管理員が、時間外の午前7時から午後10時までの職場の待機時間が労働時間と認定した判例があります。

<休憩時間中の来客当番は労働時間>

 休憩時間も来客登板として受付で待機した場合は、休憩時間であっても労働時間となる。

(まとめ)

 労務の提供が、賃金請求をする上での請求原因となる。(ノーワク・ノーペイの原則)したがって労務の提供をした実労働時間は原告である労働者が実証しなければなりません。

 時間外労働の記録(手帳へのメモやタイムカードのコピーや写真)をきちんと残すことが必要です。時間外業務については、上司の指揮・命令があったかも重要なので必ず上司の了解を取る(証拠を残す)ようにしてください。

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