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新世紀ユニオン発行のニュース

◆採用内定取消と採用延期について

 バブル経済の崩壊以降、新規採用予定者の内定取消をする企業が出てくるようになりました。そこには経営者が長期的計画を持って経営に取り組むのではなく、目先だけの利益を追い、行き当たりばったりの経営をしている会社が少なくないことに主な原因があります。とりわけ “リストラ時代”に突入して以降、会社経営のツケは労働者の首切りで辻褄合わせをすることが当然のようになっています。

 新卒予定者の就職が内定している人は多いと思います。そこで今回は新卒者の労働契約を採りあげる事にしました。

 会社の社員募集に対し、労働者が応募することは、会社に対する労働契約の締結の申し込みであり、これに対する会社の内定通知はその申し込みを承諾したことになります。つまり内定通知により法律的には「入社予定日を就労の始めとする解約権留保付労働契約」が成立することになります。

 採用内定開始日より前に入社予定者を確保するため、口頭で「内々定」を出す会社も多いそうです。この「内々定」も法律的には労働契約の成立と判断されます。

 この労働契約の解約権行使を意味する採用内定取消は、その理由が採用内定通知や契約書に記入されている場合や、会社と労働者との間で内定取消理由に合意があれば内定取消が認められることになります。

 しかしこうした合意がない場合の採用内定取消が適法と認められるのは、「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できない」事実が後で判明し、しかもそれにより採用内定を取消すことが「客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できる」(大日本印刷事件最高裁判決)場合に限られます。具体的に説明すると、学校を卒業できなかったとか、健康診断に異常があったとか、破廉恥罪を犯したなどに限られます。

 尚、会社が不況を理由として内定取消をすることは、合理的・社会通念上相当と認められることは困難と考えられています。

 採用内定後会社の都合による採用延期は、労働契約がすでに成立しているため入社予定日以降は賃金金額の請求権を有していることになります(民法536条第2項)。

 参考までに説明すると労働基準法26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合は「平均賃金の60%以上の手当てを払わなければならない」と規定しています。

 この規定は60%以上を払わなければ罰金が課せられる(同法120条)との刑事処罰に関する規定であり、民事上は使用者には賃金全額の支払い義務があることを知っておいてください。

 違法な採用内定の取消に対してはまず新世紀ユニオンに加入して団体交渉で解決を目指し、それでも駄目な場合裁判で地位の保全と賃金の支払いを求めることになります。この場合は損害賠償として慰謝料・弁護士費用等を請求できますから決して泣き寝入りしないでください(参考資料・日本労働弁護団「労働相談実践マニュアル」)
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◆サポーター制度を充実しました

 第5回定期大会で規約が改正され、サポーター制度が整備されました。サポーターは今後以下の5つに分類します。

 組合員の皆さんは、新世紀ユニオンの運動の意義を訴え、組合員の拡大とともにサポーターの組織化に取り組んでください。

働くものの雇用を守る新世紀ユニオンの運動に共鳴し、何らかの形で支持し支援したいボランティアで構成する。

1. 資金援助者
定期的にカンパでユニオンを支援する

2. 運動協力者
宣伝・組織活動への協力と争議支援をする

3. リストラ相談者
一定の組合活動経験者、及び労働法とリストラ対処法に詳しい人

4. 通信員
ユニオンニュースへの投稿、ニュースの普及を主とする協力者

5. 団体会員
新世紀ユニオンの運動に共鳴する労働組合・市民団体は、団体としてサポーター会員になることができる。

団体会員は組織人員に応じた応分の会費を月々、もしくは年会費を納入する。
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◆退職金について

 退職金制度は終身雇用とセットになった制度である。

 退職金の支給や支給基準が、労働協約や就業規則や労働契約で定められている場合は「賃金の一部後払い」としての性格を持っており、使用者には支払い義務があり、労働者には退職にあたり退職金を請求する権利がある。

 最近では松下のように、退職金制度を選択するかそれとも退職金をやめ、その分を賃金に上乗せする制度を選択させる企業も出ている。

 一般的に退職金は自己都合退職には低く、会社都合の場合支給額が多くなる。また懲戒解雇の場合は退職金が減額もしくは不支給になる場合が多い、つまり退職金は「賃金の一部後払い」としての性格とともに、功労への報奨としての性格も合わせて持っていることを知っておく必要がある。

 就業規則などに退職金の定めがない場合でも、慣行や個別の合意として退職金が支給されその支給額も明確に定まっている場合は、労働契約の内容になっていると言え退職金請求権がある。

 退職金は、労働者(もしくはその遺族)の請求があってから7日以内(労基法23条1項)に支払わなければならない。ただし就業規則で支払い時期が定められている時は、その定めによる。

 退職金の支払いが遅れると、遅延損害金が発生する。営利企業の場合年6%、使用者が営利企業や「商人」でない場合は5%の法定利率となる。

 退職金支払請求権の消滅時効期間は5年間(労基法115条)である。

 ちなみに賃金支払請求権の時効は2年である 退職金の不支給・減額は、退職金規定や就業規則に明記しており、かつその内容に当てはまる場合のみ行うことができる。しかしこの場合でもそれまでの勤続の功を消し去るほどの、労働者の側に著しく信義に反する行為があった場合に限られる。

 安上がりに人員削減を進めようとして、嫌がらせやいじめで自己都合退職に追い込む例が多く見受けられる。例えば遠隔地に配転を命令して自己退職に追い込む例がある(これら退職強要との闘い方については、当ユニオンのリストラ対処法を参照) こうして退職する場合の退職金について言えば、自己都合か会社都合かの判断基準が重要となる。

 例えば賃金の切り下げや遠隔地への配転でやむなく退職させられた場合は、使用者(会社)側の都合による解雇と判断すべきである。なぜなら会社は、労働契約上の付随義務として労働者の職業生活・職業能力に対する配慮義務があるにもかかわらず、遠隔地への配転命令によって退職に到ったからである。

 したがって、このような経営上の理由による労働契約の本質的変更により、やむなく退職に到った場合は会社都合の退職と同様として退職金の100%支給を請求すべきである。

 企業が正社員を削減し、パートや派遣社員等の不安定雇用への切り替えを進めているのは、退職金や各種社会保険に要するコストを削減するためである。

 今日では退職金制度は終身雇用制度と同様「労働力の流動化」とともに消え去る制度となりつつある。
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◆雇用を守るために組織拡大を進めよう

 私の職場(郵便局)では、非常勤職員に対して全逓(JPU)の加入を呼びかけるポスターが掲示板に貼っていました。題名は、「JPUは、非常勤職員の公正な評価、働きがいをサポートします。賃金への苦情処理制度は組合員に限定された制度です(発令日より30日以内)」です。

 全逓は、一方では賃下げ目的の成果主義人事制度が導入できるように労働協約を結んでおいて、他方ではあなたの賃金に納得のいかない場合は話をつけてあげましょう、と言っています。本当に二枚舌です。

 全逓が今頃になって非常勤職員を組織化しようとしている目的は、組合費の財源確保だけでなく、労働者が非常勤化されていく中で何としてでも過半数労組の立場を維持するためではないでしょうか。

 今までは「非常勤の雇用確保が難しい」ということで非常勤の組織化に消極的でした。過半数労組の特典は、休日・時間外労働のための36交渉や安全衛生委員会の推薦など労働条件にかかわる権限があります(既得権の確保)。

 私たち正社員でさえも賃金が下がってしかも仕事がきつくなっているのに、非常勤職員は雇用が守られていないだけでなく労働基準法を含む法律を知らずにこき使われています。

 超勤原資を抑えるように上から厳しく言われているのに、36協定では時間外および非番日・休日労働はしっかり確保されています。そのため正社員、非常勤とも「自主的な」サービス労働が横行しています。

 私たちが今からすべきことは、新世紀ユニオンの(二重加入)組合員を増やすことです。雇用の確保は当然ですが労働条件の向上のためには、一人でも多くの組合員が必要なんです。いかなる人でも新世紀ユニオンへ一日でも早く加入しなければ雇用の確保は難しいと思っています。
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新世紀ユニオンの組合費、拠出金等に関する高等裁判所の判決文を掲載しました。 拠出金高裁判決

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