アスベスト(石綿)を原因とする「中皮腫」(ガンの一種)による死者の数が急増しています。
政府と企業が情報を秘匿していたため、自分や家族がアスベスト被害で死亡したことを知らないままきている人も多くいます。
アスベストによる死者数は日本政府が統計を取り始めた1995年から2003年までの9年間に全国で6610人に達しています。
朝日新聞によれば南アフリカでは1959年に青石綿の鉱山で働いていた労働者に「中皮腫」患者が多発していることが国際会議で報告されていること、 1965年にはイギリスで石綿工場の周辺住民の「中皮腫」発症の多発が報告され、1972年には国際労働機関(ILO)と世界保健機関(WHO)が石綿の発がん性を指摘しています。
ところが日本政府がアスベストの使用を禁止したのが1995年であることは重大です。また国際的に危険性が確認されていたのに日本企業がアスベストを使い続けたことは重大な「安全配慮義務」違反です。
危険とわかっていたアスベストを使い続けた企業には、故意もしくは過失があるのは明白であり、不法行為責任に基づき損害賠償請求(消滅時効10年)することが可能です。なお労災補償のうち治療や休業補償は2年、遺族補償は5年で時効になります。
アスベストは吸引から発症まで平均38年もかかること、アスベストの情報が公開されていなかったことなどから、アスベスト被害がわかったのが最近であれば本来消滅時効は成立しないのでだまされないようにすること! 多くの企業が業界ぐるみでこの問題を隠してきたのは時効で損害賠償を逃れるか、わずかな見舞い金ですまそうとしているのです。
アスベスト被害者の労災認定が少ないのは、労働者の側に「中皮腫」とアスベストとの因果関係の立証義務が課されているためです。
政府は当該企業がアスベストを使用していたこと、被害者がその工場で仕事をしていたこと、医師の診断書が有ればすべて労災認定するべきなのです。
日本の企業も政府も弱者に対する思いやりが無いのが現実であり、アスベスト被害の損害賠償(遺失利益、遺族補償など)を請求することは長期のねばり強い闘いが必要となります。
毎日新聞に寄れば1992年に当時の社会党がアスベストの原則使用禁止を定めた「アスベスト規制法案」を国会に提出したが、提出前に業界団体の日本石綿協会が「健康被害は起こり得ないと確信できる」などとした見解を文書で政党と省庁に配り、自民党などの反対で一度も審議されないまま廃案になっていたことが分かっています。
危険なアスベストの使用を許してきた無責任な業界と企業と政府・自民党の責任を問うべきですし、国家に対する損害賠償請求を行うべきです。
日本の裁判制度では、勝つことは長期の闘いとなることが予想されます。したがって民事訴訟も国家賠償訴訟も、他の被害者と広く団結して(被害者の会を作り)集団で闘うようにすることが重要です。解決を急ぐ場合は企業との和解交渉で解決をはかるのがいいでしょう。
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