2003年12月にアメリカでBSE(牛海綿状脳症)が発生し、日本はアメリカ産牛肉を輸入禁止としてきました。
BSE対策として日本は牛の全頭検査を行なってきましたが、アメリカは0.7%しか検査していません。しかしアメリカ政府は日本の全頭検査を「非科学的」と批判しました。昨年末小泉首相はブッシュの再選に協力する意味で輸入再開を約束しました。
アメリカ政府の求める月例20ヵ月以下の牛肉の輸入再開に道を開き、同時にBSEが発生した場合の政府の責任を回避するため小泉は今年5月内閣府食品安全委員会に丸投げする一方で、アメリカの圧力に屈して日本の全頭検査をやめ、21ヵ月以上の検査に修正しました。
11月中旬のブッシュ訪日を前にして政府から早く結論を出すように求められた食品安全委員会は、一方で「科学的にリスクの評価が困難」といいながら、他方で「危険部位の除去が完全に行なわれれば」という条件付きで「日米のリスクの差は非常に小さいと詭弁に近い論法で事実上輸入の再開を認めた。
ところがアメリカには牛の出生日からの経歴が追跡できる仕組みがなく、肉質を見て20ヵ月以下と確実に判断することは不可能と言われていること、また危険部位の除去についても完全に行なわれたかは不明でアメリカ産牛肉の安全性には疑問が多くあります。
結局、日本の全頭検査とアメリカの0.7%の検査から「リスクの差は非常に小さい」という結論を導き出すところに無理があり、しかもアメリカ政府は、日本政府の20ヵ月以下の輸入再開を歓迎しながら早くも月齢30ヵ月以下を輸入再開の対象とするよう日本政府に要求しているのです。
アメリカでは牛の肉骨粉の入った飼料が今も売られており、しかもアメリカ会計検査院の警告によればアメリカ食品医薬局(FDA)が実施しているBSE対策としての飼料検査が1ヵ月から3ヵ月以上かかるため、BSE汚染が確認されたときには問題の飼料がすべて消費されているというのです。
日本政府は安全を担保するためにアメリカとカナダに調査チームを派遣する、と言っているが危険部位の除去を常駐して監視するのではない一時的な調査では安全性を担保することにはなりません。
出生証明のない牛の肉を色で判別することは不可能と言われており、政府の言う安全性に説得力はありません。
既に有名スーパーや外食メーカーが「危険なのでアメリカ産牛肉は扱わない」と表明しており、アメリカ政府の貿易制裁をちらつかせた強引な輸入再開圧力が、小泉政権にアメリカ産牛肉の安全性を置き去りにしたまま輸入再開へと踏み切らせつつあるのです。
このままではアメリカ産牛肉のBSEが薬害エイズや石綿による肺気腫のような公害・人災となりかねないと見られています。またアメリカ産牛肉が消費者にそっぽを向かれる可能性は強い状況となっています。
アメリカ政府は日本向けの牛だけ全頭検査をすれば解決する問題なのに、それを回避しているのはアメリカにおけるBSE汚染が表面化するのをおそれていると見られています。支配と従属の日米関係だからこそ強引な手法が通じるのであり、私達は日本政府がアメリカ産牛肉の輸入再開を強行するなら一大不買運動によって日本の食の安全と安心を守らねばなりません。
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