昨年の12月27日、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会は「労働契約法制及び労働時間法制の在り方」について報告書をまとめました。
その特徴点は
(1)現在の労働時間規制からの除外(現在は「管理監督者」部長クラス)を管理職一歩手前の「チームリーダー」まで拡大する。(アメリカのホワイトカラー・エグゼンプションの導入)
(2)中小企業には裁量労働制を導入しやすくする。
(3)会社が一方的にできる就業規則の変更
などで労働条件の改悪が可能となる、労働条件変更ルールの導入を狙っています。
解雇の合法化を意味する「解雇の金銭解決」と労働組合の団体交渉権を組織率が一定割合(50%以上)の組合に限る点については、引き続き検討することとなり、今回は見送られた。
つまり財界などが「労働ビッグバン」として期待をよせる、今回の労働法制の規制緩和の中心は、サービス残業の合法化と就業規則の変更による労働条件の改悪ルールの立法化に狙いがあります。
とりわけ「チームリーダー」以上の残業代を支払わない「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、アメリカ政府と財界が強く要求してきたもので、日本政府の対米公約となっているものです。
この「チームリーダー」の残業代不支給の年収条件は、法案成立後に政・省令で定めることになっており、具体的な対象範囲は「労使委員会」(会社側と労働者側半々で作る)が「労使自治」(日本経団連)で決めることになります。
労組がない場合(これが大半なのです)「社員の過半数代表者」が労使委員会の社員側となるが、現在この過半数代表者を選挙で選ぶ企業は、わずか17%であり、他は会社が事実上指名しています。
つまり年収条件以外の残業代不支給の対象範囲は事実上経営側が決められるのです。そこで年収条件が問題になりますが、これは大企業と中小企業で大幅に開きがあり、答申では政・省令で決めるとして、明らかにされていません。
当初は700万円などとし、少しづつ下げていく方向と言われています。そのため中小企業には「みなし労働時間制」(裁量労働制)を使いやすく規制緩和することで、中小企業にも残業代不支給を拡大するというものです。この労働時間規制の緩和で企業全体で約11兆円以上の残業代が不要となり、利益に繰り入れることができると言われています。
今ひとつの、就業規則の変更による労働条件の改悪ルールの導入は欺瞞に満ちています。
答申には「労働契約の内容が労使の合意に基づいて自立的に決定されー」と書かれ、労働契約の原則として「労働者及び使用者の対等の立場における合意に基づいて締結される」と書いてあるのに、具体的な中身は企業が一方的に変更できる就業規則で労働条件の改悪ができるようにしています。
つまり労働条件の不利益変更が“過半数組合(家畜労組)の合意”と“経営上の必要性”と“就業規則の変更”で合法化されることになります。
日本の労組織率は18%にまで低下しており、しかもその多くが“家畜労組”であり、労組の無い職場では、会社が選出する「労使委員会」が就業規則の変更による労働条件の変更に加担することになります。
日本経団連の“欲ボケ老人”達は、元旦に発表した「新ビジョン」で、日本を「希望の国」にすると言いながら、労働者を“タダ働き”させ、賃金を一方的に切り下げることを策動しているのです。
規制改革会議のこの答申に基づき通常国会で雇用契約法制と労働時間法制の改悪が計画されています。闘う労働組合を育てる事が、喫緊(さしせまって大切なこと)の課題となっています。
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