日本の戦後労働運動を学ぶには終戦(敗戦)直後のアメリカ占領軍(GHQ)の戦後改革(労働改革)から出発しなければなりません。
GHQの「労働改革」の特徴は労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権(これを労働3権という)を保障したことです。それは戦前の日本が絶対主義天皇制の下で労働組合を認めず、治安維持の名で弾圧し、そのことで低賃金を実現し、ドレイ労働を実現して、その結果日本は内需が小さいため空前の侵略国家になった経験を踏まえたものでした。
GHQは「労働改革」で労働3権を認めることで強い労働組合を実現し、比較的高い賃金とすることで内需中心の経済の実現をめざしました。もちろんそれは「農業改革」で地主階級を一掃し、小土地所有によって農村を自給自足から資本主義の市場とし、「経済改革」によるシャウプ税制で富の再配分を実現し、公共事業で内需を主導したこととセットでおこなわれたのです。
GHQは労働組合の力を強化することで日本軍国主義の復活を阻止する力を労働組合に期待したのです。こうしてGHQの戦後改革は理想的ともいえる資本主義社会を実現し、日本経済は復興を実現しました。
日本経済は「所得倍増計画」や「列島改造計画」やその後の大公共事業で一層発展し、日本経済は商品輸出を急速に拡大しました。
輸出の拡大が日本企業に莫大な超過利潤をもたらしました。この超過利潤が企業内組合の上層を買収し“飼いならす”経済的基盤となったのです。
こうして労働組合の力によって日本の軍国主義の復活を阻止するという労働組合の社会的役割は「家畜化」によって無に帰すことになった。労働組合の上層が飼いならされ、彼らが「春闘の終焉」「ストなし春闘」を主導し、総評が解体され「連合」が生れました。「連合」は家畜労組の上層連合にほかなりません。
私達がリストラに協力する企業内組合を「家畜労組」と呼ぶのは、この労組が社会的役割を放棄し、企業の利潤追求のための労働者支配の道具となっているからにほかなりません。
日本経済の発展に脅威を覚えたアメリカは、日本に「構造改革」を要求しました。
「構造改革」とは自由化、民営化、規制緩和(グローバル化の政策)で日本を高収益の野蛮な資本主義にし、巨額の資金をアメリカに流し込み、アメリカ1人勝ちの経済体制を実現することでした。
日本の資本の輸出は企業に空前の超過利潤をもたらし、日本資本主義の侵略性を強めることになっています。
アメリカは日本に米国債を買わせ、日本の資金を吸収しつつ、安保条約にもとづく日米同盟の強化で日本の戦略的取込みを進め、日本の属国化を進めています。今、日本企業が次々とアメリカの“ハゲタカ”ファンドの餌食となりつつあります。
こうして日本企業の経営の中心が海外進出とリストラが中心になり、日本社会は急速に格差を拡大しています。リストラと闘うための新しいユニオンが数多く誕生し、日本の労働運動は企業内労組(家畜労組)から個人加入労組へと転機の時を迎えました。
日本経済が侵略性を強め、アメリカの戦争路線に追随するために集団的自衛権を認め、改憲への動きを強めている中で、日本の戦争を阻止する社会的役割を果たす労働組合が家畜化していることは非常に危険なことです。
私達は1日も早く、新しい労働組合へ、労働者を組織しなければならない局面を迎えているのです。
日本の労働者はパートや派遣や請負等半失業者となりつつあり、貧困化も進み、組合費さえ支払えない労働者が日々増えています。日本の労働者はユニオンを必要としているのに、組織化の条件は厳しさをましています。
新世紀ユニオンは、日本の平和主義を守るためには、日本がアメリカから自立し、平和・中立の日本を築かねばならず、日本の侵略体質を強めている野蛮な資本主義に反対しなければならないと考えています。
野蛮な資本主義とは過労死するほどの過重労働、一年に3万人以上自殺に追い込む社会、利潤獲得のためなら“何でもあり”の経営のことであり、社会的弱者が踏みつけにされ、福祉の名で高齢者から大収奪する社会のことであり、またリストラで労働者の家族から希望を奪い、困窮に追い込むことであり、利潤獲得のために戦争をする社会のことである。
労働者の生活と雇用を守るとともに「内に抑圧、外に侵略」の“戦争への道”に反対することこそ、新しい労働組合の社会的役割となっているのです。
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