東京電力の福島第一原子力発電所で作業している労働者の体内被ばくが相次いで明らかとなっている。
3月12日に30代の労働者が590ミリシーベルト、40代の労働者が540ミリシーベルト、6月10日には3人目の緊急時の被ばく線量限度250ミリシーベルトを超える被ばくをしていたことが明らかとなった。
東京電力によると作業員約7400人の内約5分の1しか被ばく量が測定されていないという。全身測定装置がわずか2台しかなかったからである。
福島第一原発での作業員の3分の2が子会社など外部労働者で、中には「被ばく承諾書」にサインさせられたり、だまされて原発に送り込まれたりした労働者もいるという。また偽名で働かせていたため、被ばくの追跡調査ができない労働者も数十人いるという。
また作業員が心筋梗塞などで倒れる者が続出しており、作業環境の改善が求められている。
報道によればマスクの中の濾過装置(フィルター)が入っていなかったため被ばくしたり、被ばくカウンターを身につけず作業をさせたりしている例もあるそうだ。こうした数多くの報道が示しているのは、東京電力が労働者の安全に対して極めて無責任であり、危険な作業であることが明白な現場であるのに、安全への配慮がなされていないことは重大である。
こうした安全無視の会社が今まで口先で「原発は安全だ」と呼び続け「安全神話」をデッチアゲてきたのである。
つまり東京電力の安全軽視の体質が原発事故を招き、事故対応でも、その体質が次々と露呈しているのである。
決められた安全基準や放射能下の作業基準がマニュアルどおり実施されていないことが問題なのだ。
事は人命にかかわる問題であり大事故だから許されるという問題ではない。
福島原発の安定化のために第一線で危険な作業を命がけでしている労働者の安全は万全の装備で守ってほしいのである。
杜撰管理とも言える原発労働者の被ばく事故は、東京電力の安全軽視の体質が露呈したものであり、こうした安全軽視の姿を見せつけられると、東京電力に原子力発電所を運転する資格があるのかと思わずにおれない。
労働相談を受けていると企業 がいかに利益第1であるか、いかに労働者の安全を無視しているか、という話を多く聞くことになる。
ある化学工場ではマニュアル通り作業していては儲からない、とバケツで原料を投入させて、爆発事故を引き起こしたり、労災の負傷者を救急車で運ばず、夜になってこっそり町医者に運び込んだり、また爆発事故そのものを隠ぺいし、労働基準監督署に届けも出さなかったり、労災の怪我人を私傷病として処理し、健康保険書で受診させ労災を隠ぺいしたという話は捨てるほどある。
しかし、それらの多くは中小企業なのである。
東京電力のような大企業で、このような杜撰な安全管理がおこなわれている例は聞いたことがない。
全国、全世界が注目している福島原発の作業だからこそ、東京電力には労働者の安全管理を徹底してもらいたいのである。
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