(1) はじめに 医学部の基礎研究室には、教授、准教授、講師、助教とよばれる教員と実験補助や秘書、そして学位論文を取得するために在籍する大学院生がいます。基礎研究室の教員の業務は、教育(大学学部生への授業や実習、大学院生の学位論文作成の指導)と教員自身の研究になります。
平成17年、学校教育法の改正で、教授が頂点に君臨して助教授以下を支配する“講座制”を廃止する方向が打ち出され、同時に助教授は准教授に、助手は助教に名称変更されました。これは准教授、講師、助教は教授と同じく「学生を教授し、研究を指導し、又は研究に従事する」ことを職務とし、「教授、准教授、講師、助教は同じく独立した研究者である」という法律に基づいてのことです。しかし、今もなお、医学部研究室の体制は教授の独裁で、“白い巨塔”、最近のTVドラマの“ドクターX”状態です。
(2) 研究不正とハラスメント “白い巨塔”“ドクターX”体制の研究室で、教授の意にそぐわない発言や行動をしたらどうなるか。教授の不正行為に加担することを拒否したらどうなるか。ハラスメントと人事での嫌がらせが続きます。一方、教授の不正行為に加担すれば、立場の優遇や、出世という特典が与えられます。
私は、教授から強要されたデータ捏造を拒否したり、教授が私の行った実験のデータの数値を改竄し、改竄データでまとめた論文を学術雑誌に投稿したことを受け入れなかったり、その他の教授の不正行為に加担しなかったことで、密室、又は人前で数時間も怒鳴られたり、実験に必要な装置を次々と取り上げられたり、研究妨害をされたりと、様々なハラスメントを、数年にわたって受けました。
同じ研究室の教員や実験補助員達は、初めはハラスメント加害者である教授を嫌悪していましたが、徐々に教授のハラスメントに加担するようになり、最後はむしろ、私を貶めるために、様々な虚偽の申立てを大学に行いました。
教授と教室員達は、(後の裁判では証拠も示せない、あるいは証拠同士が矛盾するという)でっちあげの私の問題行動を仕立て上げ、私に精神異常者のレッテルをはり、研究室や更衣室などの鍵を全て取り上げ、私を教育・研究活動から締め出しました。
(3) 教授のハラスメントの動機 教授のハラスメントの動機は、2つあります。ひとつは支配欲です。相手を服従させ、黒でも白、白でも黒と言うように強要し、自分と異なるものに我慢ができないのです。二つは教授自身に実験標本を作成し検討する実験技術がないので、実験技術をもった研究者を“自分の実験・研究奴隷”として利用する狙いです。
ただ、教授は、論文を出し、業績を出すのが真の目的ではなく、“奴隷”は指示したことを実行すればいい。だから、もし“研究奴隷”が自分より研究業績や将来性があるとみると、教授は“研究奴隷”に無意味な実験をさせたり、研究不正を強要したり。最終的には、教授だけの立場や地位が守られるように、立場を最大限に利用して、“研究奴隷”を貶める策を仕組んできます。
(4) 職場復帰と労災認定 私はハラスメントが原因で、休職しました。主治医の職場復帰の了承と復職の意思を何度伝えても、大学は復職を拒否しました。私は労働基準監督署へ復職を相談し、労基署が大学に指導に入りました。
私は復職できましたが、復職後は、大学組織が、教授達のハラスメント行為に加担し、ハラスメント救済の申立てや労基署に相談したことへの報復と、ハラスメントや研究不正問題を隠蔽して解決するために、私を「雇い止め」にしました。ハッキリ覚えているのは、大学学長に「君みたいなのは、怖い」と言われたことです。
私は復職後も、労基署にハラスメントや労災申請を相談していました。労基署は大学に対して、ハラスメントをやめるようにと助言・指導をしましたが、奏効を得ませんでした。結局、労基署は、私に、裁判所で解決を諮ることを助言しました。
労災申請は「ハラスメントが原因の、労災認定」を受けました。
(5) 労災認定を否定した地裁判決 私はハラスメントと雇い止めの救済を、裁判所に申し立てました。地裁の判決は、労災認定されたハラスメントをも否定するという、“画期的”なものでした。
判決文には、ハラスメント行為や研究不正の加担の強要は“指導”だと記述されていました。裁判官は、大学研究室という特異な環境や研究不正を理解できず、その結果、労災認定されたハラスメントの否定という結論に至ってしまった。そう考えるしか、ありません。
(6) 司法をバカにする、医学部基礎研究室の教授たち 裁判官は
1. 理系の話が苦手で、研究に関する“実験データの捏造・改竄”“実験装置の嘘”は見抜けない、
2. 常に大学という権威の味方である。
裁判官の二つの習性を利用して、大学や医学部基礎研究の教授達は、立場を利用して、研究不正を正当化するウソの付き放題です。
“実験データの捏造・改竄”“実験装置の嘘”は、学問上の見解の相違ではありません。大学や教授達は“数値の改竄”“測定不可能なものを、可能と言い張る”という単純で、しかし悪質なウソをつくのです。例えば、
1. 実験データの改竄は、論文に記述した“平均値±標準偏差”が生データだと主張する。生データとは「記録されて以来、加工が一切施されていないデータ。未加工データ(実用日本語表現辞典より)」で、研究では実験を行ったことを示す証拠にもなります。教授や大学は、裁判官は“生データ”の意味など知るまいと、本来の生データを示すことなく、平均値を生データだと、酷いウソをつくのです。
2. 実験装置の嘘は、実験装置の製造メーカーが“測定できない”と明言しても、 “○ではなく▽を対象とするので、測定できる”と、すりかえた主張する。勿論、大学や教授達は、測定できた実験データや論文を示しません。研究者なら“測定原理を考えれば、測定できないのは当たり前”とすぐにわかっても、裁判官には理解できまいと、タカを括っているのです。
裁判官は理系の話に疎く、研究に関する事は簡単に騙せる。裁判は騙したもの勝ち。裁判慣れした大学や医学部基礎研究の教授達の、手口です。
(7) 研究不正大国+まやかし科学技術立国=日本! 大学や医学部基礎研究室の教授達は、裁判官は理系の話や科学機器に疎いから理解できないと、実験データを示さず、虚偽の主張をしまくる。裁判官は、大学や教授という権威を盲目的に信じ、事実を知らずに事実認定し、証拠をみずに結論をだす。その結果、裁判官が実験データの改竄や捏造を容認し、研究不正やハラスメントを増長し、そして“実際”に実験・研究を行う研究者を研究業界から追い出し、潰している。これが、大学の基礎研究室の現状です。
昨今、日本人研究者のデータ捏造や改竄という研究不正行為が、海外で大きな問題になっています。例えば、東大医学部教授の研究不正疑惑が、教授の写真入りで経済雑誌に報じられたり(
http://www.borbes.com/sites/larryhusten/2013/05/10/suspicious-raised-about-another-japanese-cardiovascular-researcher/)、東北大学医学部の教授が、論文改竄データで米国政府から3年間の研究費を停止されたり(
http://www.albany.edu/~scifraud/data/sci_fraud_3426.html)、枚挙にいとまありません。日本の研究論文は、世界から全く信用されなくなりました。
研究論文のデータ改竄や捏造という研究不正、不正行為を生み出す閉鎖的で自浄作用のない大学の体制は、科学研究の発展を妨害し、薬害や人的災害を惹き起こすだけです。科学技術立国を目指す日本にとって、研究不正を見逃し、ハラスメントで実際に研究活動を行う研究者を潰すことは、未来にわたって国の利益を損なうものです。
今、司法が、研究不正を糾弾し、学問・研究の自由と研究者の保護、社会の繁栄という公益を守ることが出来なければ、日本の科学技術立国は砂上の楼閣、夢物語で終わります。