安倍首相は先の欧州訪問で法人税の減税を行く先々で吹いて回った。しかし国内ではこの法人税減税は主に財源の点で反対が多い。安倍首相は現在の法人税率35%を20%台に減税するというのだがこの減税策が出鱈目であるのは主に5点ある。
一つ目は安倍首相は企業優遇が過ぎるのではないか?という点だ。国民が、政府の財政危機を口実にした消費税増税で苦しんでいる時に、また個人に対する震災復興特別所得税は25年も続くのに、企業への特別法人税は1年前倒しですでに廃止した事、資本金10億円以上の大企業の内部留保が270兆円を超えているのに関わらず、法人税大幅減税は強欲に過ぎる、という点。
二つ目は、「租税特別措置」や「繰越欠損金」など対象業種や期間を絞った政策減税が370余りあり、実際に企業が払っている税負担は極めて少なくなっている事だ。例えば資本金100万円~200万円の中小企業の法人税負担率は22.3%だが資本金100億円超の企業は19.6%の法人税の負担率で、巨大企業である連結法人の税率はわずか13.3%なのである。これは様々な企業減税によるトリックだ。法人税減税するなら政策減税を全て廃止すべきである。
三つ目は、「アベノミクス」の第3の矢である成長戦略の目玉が法人税減税だが、法人税減税をすると法人税収が増える、という「法人税のパラドックス(逆説)」がペテンに等しいということだ。この論は欧州の御用学者の論だが、法人税減税に期待する経営者を喜ばせるペテンに等しい論だ。
四つ目は、法人税減税の財源として中小企業への増税や公益法人への優遇措置見直しが検討されているだけでなく、労働者家庭への実質増税となる配偶者控除見直しが検討されている。これは弱きものから搾り、豊かなものに減税する不当な税制改悪というべきだ。経済とは「経世済民」の為におこなうべきである。
五つ目は、4月以降の消費税増税には企業優遇措置が盛り込まれていた。それは輸出として行われる資産の譲渡または貸し付けについては消費税を免除する(消費税法7条)という規定である。これで国内販売より輸出が多い企業は納める消費税より還付される金額の方が多くなる仕組みなのである。これで輸出の多い大企業が手にする消費税還付金は約2兆5000億円(2012年度の数字)にもなるという。つまり国民が消費税で苦しんでいる時に、また景気の減速が心配されている時に、トヨタなど大企業は消費税増税で利益を得ているということである。
以上の5点から我々は安倍首相の法人税増税に断固反対するものである。全国の労組活動家はこの法人税増税のデタラメの5点を広く国民に知らせてほしい。
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