上司のパワハラを原因とするうつ病による休職からの復帰を被告A社が認めず、退職扱いしたこの事案は、A社が当初「病気が治っていない」「仕事ができない」ことを理由にしてきましたが、原告が主治医の意見書とカルテを証拠提出すると、A社は書面でブログを根拠に「詐病だ」「さぼりだ」と6年以上前のことで懲戒解雇してきました。
しかし原告が、そのブログを友人と2人で書いていたことを主張すると、A社は「確認しようがない」と主張してきました。つまり確認しようのない理由でA社は「懲戒解雇」したことになります。懲戒解雇の事案では事前に本人に弁明の機会を与えることが要件として必要なのに、A社は確認もしないまま「懲戒解雇」したことになります。
こうして追いつめられたA社は、準備書面を連続4回も提出し、原告に裁判の取り下げの脅迫を行いました。その内容には○○テレビの取材に応じたことが不法行為になる、詐病で傷病手当を不正に受け取った、と原告を犯罪者のように仕立て上げていました。そして裁判を取り下げないと退職金も不支給の裁判をやる。訴訟を2つやると脅迫してきました。
原告が裁判の取り下げを拒否すると異例の事態が進行しました。裁判官が交代し○○地裁民事第○部の部長が新しい裁判官となり、すぐ和解提案が行われました。○○万円(他に退職金)でこれを拒否すると負ける、と言われると、原告としては受け入れるほか選択肢はありません。
そのような経過で和解する事になりました。約○○カ月分の解決金は解雇事案としては多いが、パワハラによる被害の慰謝料がその時点で労災認定されていなかったので、その分が取れなかったのが残念です。
A社が和解条件に「和解内容を第3者に口外しない」ことを条件にしてきました。特に「新世紀ユニオンが委員長のブログに書いたならば、守秘義務違反を問題にします。」とわざわざ書面で要求してきましたので委員長のブログには書いていません。
この裁判の異例の経過が示しているのは裁判所はパワハラ事案については判決は出したくないのではないか、ということです。裁判官を入れ替えての強権的和解提案は非常に珍しいことです。しかし金銭解決の相場が下がり続けている中での○○カ月分(退職金別)は新世紀ユニオンでは過去最高です。
Mさんが先に加入していた労組が配置転換に伴う10万円近い賃下げを不当として闘わなかったため、和解金額が少なくなった点も指摘しなければなりません。組合員を裏切り、企業に加担する労組の裏切りは今後問題にしなければなりません。
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