問
私は予備校で今年の4月から1年間の雇用契約を交わし働いてきました。ところが先日7月末で解雇する旨使用者から通告されました。解雇理由は何も言わず、「1か月前に通告すればよい」と予備校の責任者は申しています。教師の仕事は毎年4月からなので、今解雇されると再就職が困難です。有期雇用でも1か月前の通告で解雇できるのでしょうか?
答
雇用の期間を定めた有期雇用契約とは、使用者も簡単に労働者を解雇できないが、労働者も簡単には途中で辞めることができないことを知っておいてください。有期雇用契約とは契約解除の理由が当事者の過失による場合は過失した側が損害賠償の義務を負う契約なのです。
労働契約法第17条第1項は「やむを得ない事情がある場合でなければ、その契約が満了するまでの間において労働者を解雇することができない。」と定めています。
ですからこの規定では「やむを得ない事由」がある場合は解雇できます。「やむを得ない事由」とは使用者の場合、会社が火事で事業を続けられなくなった場合、あるいは震災で工場が倒壊し事業が継続できない場合がそれにあたります。
労働者の場合は病気で働き続けられなくなった場合、あるいは交通事故でけがをして働けない場合がこれにあたります。
ところがこうした法律を知らずに、1年の契約雇用であるのに1カ月前に通告すれば解雇できると単純に考えているバカな経営者がいます。教師のように教員免許がある仕事の場合勤労能力が備わっていることは明らかです。従って能力がないという理由は主張出来ません。しかし契約期間の残りの期間の賃金を使用者が支払えば期間途中でも解雇できます。
契約期間途中の解雇で重要なのは、使用者の解雇理由を確認(証拠を残す)しておくことです。そうしないと審判や裁判で経営側の弁護士が都合よく解雇理由をでっち上げてくるからです。従って期間途中で解雇された労働者はユニオンに加入して指導に従って証拠を固めたうえで、残りの契約期間の賃金の請求を行うようにして下さい。(契約が何回も更新されている場合は、解雇されず雇用が継続されていたでおろうことを主張して、残りの契約期間にとらわれず未払い賃金を請求していくべきです)
この解雇無効の争いの焦点は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められる場合よりも、有期雇用の途中解雇の場合はより厳しいとされています。つまり相談者には有利な事案なので、相談者はユニオンに加入して契約期間の残りの期間の賃金を請求すべきです。
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