最近新世紀ユニオンが、委員長のブログでブラック企業の実名を出していることに対し、損害賠償や慰謝料請求されないですか?と支持者の方から質問を受けることが時々あります。支持者の方や組合員の方に心配をかけるのはよくないので書くことにします。
憲法28条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動する権利は、これを保証する」と規定しています。この団結権・団体交渉権・団体行動権を「労働3権」と言います。この規定を受けて労働組合法が制定されています。
労働組合法は憲法28条に基づいて3つの重要な保障をしています。その1つは、労働組合の正当な行為を行っても刑罰を科せられないこと、これを刑事免責といいます。その2つは、労働者の正当なストライキやその他の争議行為によって、企業が損害を受けたとしても組合又は組合員に民事上の損害を請求することができないこと、これを民事免責と言います。その3は、使用者は、組合活動を理由とする組合又は組合員に不利益待遇をしてはならない、というものです。
新世紀ユニオンが委員長のブログで会社名を公表する場合(1)既に争議に入っていること(2)その企業が違法行為をしていること、(組合が要求しているのに回答しないこと)このような場合に企業の違法行為を名指しで暴露しています。
違法行為をしていても撤回を求めて企業が受け入れた場合は企業名は出さないようにしています。また公共的法人で違法なことをし、改めることをしない場合は組合員がいる、いないに関わらず企業名を暴露する場合があります。このような場合は証人がいること、事実の裏を取った上で暴露します。
新世紀ユニオンのブログでのブラック企業の名指しによる暴露は、争議行動の宣伝戦として行っているもので憲法28条に基づくだけでなく、憲法21条の表現の自由に基づく正当な行為です。ですからこれまで一度も慰謝料請求や損害賠償請求をされたことがありません。またしたとしても逆にブラック企業の正体を世間にさらすだけになります。
当方としては、争議行動の中の宣伝活動で、相手会社から訴えられた方が宣伝になるので是非そうしてほしいと思っていますが、実際にはそのようなバカな企業はありません。新世紀ユニオンの支持者の方の心配はありがたいですが、それは杞憂(きゆう)です。
また組合員の中には「加入しているが、組合に加入していることは秘密にして欲しい」と言う人が時々います。裁判を闘う場合組合加入を公然化するか非公然にするかはそう問題はありません。
しかし職場で雇用を守る場合、非公然だと、労働法の不利益待遇の禁止など労働組合法の保護規定を活用できないことを指摘しておきます。もちろん公然化するか非公然化するは組合員本人が決めればいいことです。
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