日本の大学や研究所。そこは研究不正やハラスメント、任期制を悪用した雇い止め問題が蔓延している。
この1年だけでも、東大医学部での大規模研究不正問題、岡山大学での医学部の研究不正を告発した薬学部教授の解雇問題、広島大学での医学部のハラスメントと任期制を利用した雇い止め問題等々、数かぎりない。上記は報道されたものであるが、ごく一部である。研究界では不正やハラスメント加害者が守られ、被害者が放逐され続けている。
若手研究者の雇用問題も悪化の一途をたどっている。文科省の「卓越研究員制度」も崩壊している。「卓越研究員制度」とは、博士号を取得した中から“卓越”した人材を選抜し、3年間の人件費と研究費を与え、3年後には大学、研究所、企業への就職のマッチングをおこない、若手の雇用問題を解決するという前宣伝で始まった。
制度開始から3年。卓越研究員で就職先が決定した者は半分もいないという。理由は卓越研究員の希望が“基礎研究”で企業とのマッチングがうまくいかない。博士はプライドが高く、コミュニケーション下手で扱いにくい。要は、就職先が決まらない“卓越研究員”に問題が多いという結論だ。
その一方で、大学や研究所に就職が決まった卓越研究員もいるが、ほぼ教授のコネによるという。結局、従来の大学人事と同じで政治力がツヨイ教授の弟子は就職先に困らない。研究者が研究を続けるには、研究内容や業績など無意味、不要である。
この1月、研究する場がないなら「研究所をつくればいい」と言いだし、3月には研究所をつくる・つくりつつ研究者がいる。篤志家の協力を得て、香川県高松市に土地や建物を提供してもらい「卓越科学研究所」として立ち上げ、孤軍奮闘している。
https://leading-initiatives.jimdo.com 文科省に研究機関として認定してもらうには? 必要な設備・備品をどう揃えるか? 資金・人件費をどう集める? 寄付で、あるいは事業で? 海外を参考に研究者自身が企業し資金を集めてもらうには? 等々、全てが模索中である。研究分野を問わず、現在の職を問わず、博士号取得者を募集している。
残念ながら、チクッとした嫌味をSNSで呟き、揚げ足を取る研究者は既に存在する。その一方、研究界の現状を少しでも改善する可能性があり、研究者の研究の場の提供につながる「卓越科学研究所」に協力する研究者も、少しずつ集まっている。研究者が研究できる環境づくりに、協力して頂けないでしょうか?