求人広告やハローワークの求人票で正社員で期限の定めのない雇用と書いてあるので就職したら、あとから非正規の1年間の期間契約を出してきた。とか求人票に「転勤の可能性なし」と書いてあったのに就職したら遠隔地配転命令を出され、拒否したら解雇された、という例もあります。
つまり求人広告や求人票でだまして雇い、後からそれを否定する契約例が多く見られます。ですので求人広告や求人票が労働条件となるのかについて書きます。
(1)求人広告と求人票は嘘でもかまわない
求人広告の内容が実際の労働条件と違う「詐欺求人」が社会問題となっています。なぜこんなことが起きるのかというと、求人広告や求人票は使用者が労働条件を示して、労働者の労働契約の申しこみを「誘引するもの」であり、ある程度嘘を書いても裁判所は認めるからです。つまり労働条件は「雇用契約書」で示されたものが労働契約の内容となります。
ただし賃金額等は求人票記載の金額を下回る金額を使用者は提示すべきではない、とされています。これを信義誠実義務の原則(労働契約法3条4項)といいます。
労働契約法4条1項で使用者には労働契約内容の理解促進責務が課せられています。したがって求人広告と求人票と違う内容の契約書を提示する場合、雇用主はキチンとその理由を説明する義務があります。
(2)求人票記載の内容が労働条件となる場合もある
求人票に「転勤の可能性なし」となっており、その後提示された契約書に「転勤の可能性」に付いて記載がない場合は求人票記載が効力を持つと解されます。求人票は公的機関であるハローワーク(職安)に備え置かれた文書なので、求人票記載の内容が労働条件となる、との判例もあります。
なお使用者が、求人票記載の内容と実際の契約書の内容が違う点について、労働者の理解促進の義務を果たしていないときは不法行為を構成する場合があります。
つまりハローワークの求人票記載の労働条件は、使用者の説明の上で、当事者間でこれとことなる合意をしなければ労働契約の内容になるという理解でいいでしょう。求人広告の内容が実際の労働条件と違う「詐欺求人」が社会問題となっているのは、裁判所の曖昧な判決が影響しています。
あるときは求人広告や求人票は使用者が労働条件を示して、労働者の労働契約の申しこみを「誘引するもの」として嘘の広告を認めたり、あるときは求人票記載の労働条件は労働契約になる、と判決したりでは混乱するのは当たり前なのです。
ですから労働者は、求人票記載の労働条件を面接時に確認して録音しておく必要があるのです。
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