解雇の金銭解決制度は2002年と2005年の2回導入が検討された。安倍政権は2015年に閣議決定した日本再興戦略に金銭解決制度の議論を始める方針を盛り込み、これに基づき厚生労働省が「有識者検討会」を設置して議論してきた。その後「解雇無効時の金銭救済制度」の法技術的な議論を進めるため厚労省は「学識者検討会」を設置し、今年6月にその初会合が行われている。
労働側(=連合)は、金銭解決制度について「労働者に退職を迫るリストラの手段に使われる」といい、経営側(=経団連)は「企業によって支払い能力に違いがあり、一律に定めるのは難しい」というもので、労使が反対しているのに推進される点が奇妙なのである。
元々解雇の金銭解決制度が出てきたのは、解雇裁判に経営側が負けると現状では原職復帰することになる。それが嫌なので、経営側が違法解雇であるとして敗訴しても、一定のお金を払えば当該労働者を解雇できる制度を必要として検討会が作られたものである。
新世紀ユニオンでも解雇裁判になり地裁でも高裁でも勝訴したのに、経営側が原職に復帰させず、電気のコンセントもない倉庫に「配置転換」し、再び裁判になり、最終的に金銭和解で退職した事例があった。
解雇裁判で負けてユニオンの組合員が原職に復帰することを経営者は死ぬほど嫌うので、現状では裁判を地裁・高裁・再び地裁と何回裁判してもユニオンの組合員排除に動いてくるのが経営者なのである。
日本経済が高度経済成長から低成長になり、リストラ時代となって違法解雇が次々行われ、全国に新しい個人加入の労組(=ユニオン)が組織されたことで、どうすればユニオンの組合員の原職復帰を妨げるか?
今のままで排除すれば不当労働行為になるので、現行労動組合法に風穴を開けるために違法解雇で経営側が裁判に負けた場合「金銭解決制度」があれば合法的に活動家を排除できるという訳である。
つまり現行の違法解雇で裁判で負けても原職復帰を妨げる必要が「治安的労務対策」として必要だという訳である。極言すれば個人加入ユニオンが、これ以上経営に逆らえない体制作りと解するべきであろう。したがって新世紀ユニオンは、解雇の「金銭解決制度」あるいは「金銭救済制度」は対ユニオン対策なので、その導入に断固反対している。
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