日本の男性社員の長時間労働は増えるばかりだ。ある調査によれば1990年代の初頭には一日10時間以上働く人はわずか10数%だった、ところが2000年以降、一日10時間以上働く人は50%を超えているそうだ。
2016年のデータで日本の男性正社員の労働時間は年間2018時間だ、この長時間労働を可能にしているのは女性が家事・育児・介護をしながら無理をして働いているからだ。だから女性の正社員は減り続け、多くがパートになるしかない、それでも日本の女性の睡眠時間は世界一短いという調査結果がある。つまり日本は女性の犠牲の上に男性の長時間労働を可能にしていると断言できる。
主婦パートは、社会保険料はかからないのに正社員並みの仕事をしてくれる、しかも時給は安い。企業にとって女性はまさに高利潤の源泉なのである。
電通の高橋まつりさん(24歳)が長時間労働で過労自殺に追い込まれた事件は、日本の女性が正社員で頑張ろうとすることの悲劇を示したし、結婚してパートに変わっても、家事・育児・介護が女性を長時間の労働に追いたてる。
日本の女性は世界一学歴が高いのに、その労働力が生かせず、しかも企業の利潤追求策が長時間労働一辺倒(=古臭い絶対的剰余価値の追求)であるために日本経済の生産性は高まらず、相変わらずの低成長が続いている。日本の経団連など財界と政策担当者の愚劣を指摘しないわけにはいかない。
日本社会における家事労働からの女性の解放は次の政策が必要である。
(1)一日8時間労働の違反には厳しい罰則を付けること。残業時間の割増賃金を100%とすること。残業は一日2時間を週2回を上限とし、長時間労働を禁止する。
(2)雇用社員は原則男女同数を義務付けること。最低賃金を1時間1,400円とすること。
(3)女性の出産・育児休暇は次世代の労働力の生産なので企業は平等な負担を受け入れること。
(4)労働力の不足については女性労働力の活用、省力化投資・ロボット化で生産性を上げることで克服すること。
(5)介護施設・保育所・託児所等社会化できる部分は政府の責任で推進すること。これによって女性が働けるようになることで労働力不足は克服できる。費用は企業と個人への「福祉増税」で賄う。
(6)生産性の上昇に伴い賃下げなしの週35時間労働への移行を目指すこと。
これらの政策は、もちろん段階的に進めるほかないが、これによって日本企業の設備投資を急増させ、日本経済は中成長を回復できる。日本企業は大企業だけで425兆円の内部留保をため込んでおり、省力化投資の資金に不足はない。
最低賃金を実現できない企業は淘汰し、省力化投資をこれらの政策で促し、生産性を上げることと工場の海外移転を政府の許可制としで、産業の空洞化に歯止めをかけることができる。
日本資本主義は長時間労働という絶対的剰余価値の獲得の方向を転じ、省力化投資を促す政策誘導で、高い生産性を生みだす。このことで日本企業は国際競争力を回復し、高利潤を実現し、日本経済は再生できるであろう。
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