2015年に安倍政権の規制改革会議の意見が閣議了承された。この制度の特徴は「金銭解決の選択肢を労働者に明示的に付与し、労働者側からの申立てのみ認める、というのが特徴である。現在この具体化が「検討会」で議論が進んでいる。
この議論の特徴は、労働者のみ無効解雇に対する金銭(解消金)請求権を実定法上に付与して、従来の地位確認訴訟とは別に、労働者の選択によって解雇の金銭救済請求訴訟(解消金請求訴訟)を認めようという案である。
この労働契約解消金の定義としては、「無効な解雇として確認された労働者としての地位を、労働者の選択により解消する対価」とする、としている。現在のところ「制度導入ありき」で議論が進んでいるという。
この解雇無効の金銭救済制度の導入の狙いは使用者側に新たなリストラの武器を与えることにある。
たとえば会社が労働者を解雇する時に「会社は解雇が合法と考えているが、訴訟回避のため法定された解消金基準の6割を払うから辞めてくれないか?」「もし君が提訴しても勝てるか分からないし、弁護士着手金もかかる。この金額で合意してくれたら、解雇ではなく会社都合の合意解雇として扱う」といえば、多くの労働者が受け入れるであろう。
つまりひとたび労働契約解消請求権の解消金基準が設定されれば、それは企業にとって訴訟回避の圧倒的な武器として作用するであろう。事実使用者側の「検討会」の委員が使用者の申立権の有無以上に、この解消金基準が大きな意味を持つ、と語っているという。
この解雇無効の金銭救済制度の導入は、今までの「違法解雇で有れば原職復帰が当然」と言う法意識が、無効解雇であっても解消金という金銭保障をすれば原職に復帰させる必要はない、という法意識に変化する。つまり違法な解雇が急増する可能性がある。
会社側が狙うのは、違法解雇で訴訟に負けると原職復帰させるのが嫌なのである。裁判に負けても解消金を支払えば辞めさせられるようにすることである。
新世紀ユニオンは組合員の雇用を守ることを第一に重視している。したがって新世紀ユニオンは、現在「検討会」で導入が画策されている違法解雇の金銭救済制度の導入に断固反対するものである。
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