(1) 新世紀ユニオンを取り巻く情勢
新世紀ユニオンは今年の秋の定期大会で記念すべき20回大会を迎える。
新世紀ユニオンは結成当初は、「反リストラの闘いの戦術レベルを上げる」ことを活動目標に置いていました。したがって「リストラ対処法」を19年前に公開し、その後の法改正後の闘い方も随時ブログやニュース記事としてネット上に闘い方を公開してきました。
この反リストラの戦術レベルを上げる活動は大きな成果を上げ、新世紀ユニオンの社会的な評価を高めることに役立ちました。
新世紀ユニオンは現在、労働者の雇用を守ること、気持ちよく職場で働けるようにすることを第一の任務としています。
したがって他のユニオンが「金にならない」と避けるパワハラ問題にも取り組んできました。おそらくこの点での豊富な教訓は今後の我々の財産となるでしょう。
また拠出金裁判で地裁・高裁で勝訴し、規約で定めた解決金の10%の拠出金が日本で初めて裁判所の判例化を勝ち取りました。
これが判例「新世紀ユニオン事件」として、ユニオンの財政活動の基盤を日本で初めて法的に切り開きました。以後日本国中にユニオンが多数結成されるに至りました。
リストラと闘う労組(=ユニオン)の組合員は、解雇され生活は窮迫し、多くが組合費も払えません。
それゆえ規約で解決金や未払い賃金の10%を拠出金として出してもらうという、日本での初めての判決が、ユニオン運動の広がりを促すうえで大きな階級的意義がありました。新世紀ユニオンはこの裁判を本人訴訟として闘いました。
2年前に新世紀ユニオンに対する権力の攻撃が激化し、弁護士の裏切りという形で、我々は大きな転機を迎えるに至りました。
これは新世紀ユニオンがその活動を通じて闘い方を広く世間に公開し、日本の労組の闘い方に大きな影響を与えてきた結果であり、階級敵の反撃に他なりませんでした。
その後の新世紀ユニオンの活動は日本経済の活況局面(それは不幸にして、多大な災害の復興需要がもたらしたものであり、安倍政権のもたらしたものではない)の中で、闘い方の多様化、団体交渉・大衆闘争による話合い解決、地労委の活用などの運動を通して、労働組合としての教訓を豊富にしてきました。
新世紀ユニオンが、当面重視しているのはパワハラ・セクハラ・マタハラなどの精神的暴力との闘いであり、正社員からの非正規の置き換えで増えている退職強要から労働者の雇用を守る闘いである。
この点での理論と教訓を豊富にして、今以上に日本の労働者に信頼される労組へと成長しなければならない。
この約20年間に及ぶ新世紀ユニオンの活動が教えているものは、たとえ小さい労組であっても、既成の労組が果たせなくなった労働者階級への指導的役割を少しでも果たすことであり、真に労働者のために闘うことで信頼を獲得でき、それが可能であることを実践を通して示してきたことである。
安倍政権が進める、解雇の金銭解決の制度の導入、あるいは解雇の自由化は、ユニオンへの経済的打撃をもたらし、その財政基盤を掘り崩すことを狙いとしています。
全国のユニオンは、今後財政基盤を組合員の組合費に置くべく努力を尽くさねば、存続が危うい事態を迎える可能性が強いといえます。
つまり安倍政権の「働き方改革」とは、ユニオン潰しの段階へと重点が変わりつつあることを理解しておかねばなりません。
以上の日本社会の中での新世紀ユニオンの果たすべき有益な役割を認識しつつ、今後の我々の進むべき方針を定めなければなりません。
(2) 運動の基本方向
こうした内外情勢の変化のなかで新世紀ユニオンは以下の基本方向を確認する。
次第にきな臭さを増す国際情勢の中であらゆる戦争路線に反対し平和のための言論活動を堅持していく。
また隣国を「悪魔の国」に仕立てる排外主義に反対し、嘘にまみれた反日運動や、ヘイトスピーチや「しばき隊」などの排外主義に反対していく。
中国社会帝国主義の拡張主義に反対し、香港人民の民主化運動を断固支持していく。
またアメリカの「自国第一主義」による貿易戦争による、国ぐにの経済的対立を拡大し、世界貿易を縮小させる路線は世界経済を大不況に導くものであり、こうした貿易戦争路線は軍事的矛盾を拡大するので支持できない。
安倍政権の対米従属一辺倒による農産物の市場開放政策による日本農民と日本農業の破壊に反対する。日本は対米自立し、自分の国は自分の力で防衛し、平和・中立の日本外交を求めていく。
また安倍政権の労働者への低賃金化・非正規雇用化に反対し、そのための単純労働分野への外国人労働力の導入に反対する。安倍政権の解雇の金銭解決制度や解雇の自由化に断固反対していく。
バラバラ野党に政権の受け皿を作るように働きかけ、労働者のために、社会的弱者のために政権交代を追求するよう働きかけていく。
異常気候の原因となっている火力発電所建設に反対し、災害の無い国作りを求めていく。また水道の外注化に反対し、安全・安心な水道を守るために闘う。
新世紀ユニオンは低続きリストラに反対し、雇用を守る闘いを中心にし、同時に社会的弱者のための闘いを支援していく。子供の貧困問題の解決。母子家庭を支援する福祉の充実を求めていく。また刑法にセクハラ罪やパワハラ罪を作るために要求していく。
社会的弱者の支援や、そのためのイデオロギー闘争を強化していく。ユニオンの運動では闘争形態の多様化を引き続き追求していく。
安倍反動政権の下では、裁判・地労委・大衆闘争・団体交渉などの多様な闘いを研究し、労働者の抱える問題を解決していくことに力を尽くすこととする。
また、ユニオンの組合員が組織拡大運動に積極的に参加し、組織拡大でユニオンの財政基盤を組合費に重点を移していくことが必要となっている。
以上の運動の方向に従い、以下に具体的な方針を掲げることとする。
(3) 具体的な方針(案)
1. リストラに反対し雇用を守る闘いを中心に闘う。リストラ無料相談を引き続き実施する。
2. 職場のパワハラとの闘い、ブラック企業の違法行為と闘う。
3. 家畜労組の裏切りに反対し、労組の信頼回復に努める。
4. 解雇の金銭解決制度の導入に反対し最低賃金の大幅アップと全国一律化を要求していく。
5. アメリカに反対し、日本農業と農民を守り食糧自給率を高めるよう求める。
6. 日本の自立と平和のための運動を進める。日本とロシアの平和友好条約の締結。
7. 欧米の介入によるシリアの内戦化反対。中東の宗派争いによる武器市場化に反対する。
8. 中国の地域覇権主義に反対する。東シナ海と南シナ海での戦争挑発に反対する。
9. 中国人民ならびに香港人民の民主化運動を断固支持する。
10. 日米同盟の強化に反対し、米軍と自衛隊の一体化=集団的自衛権に反対する。
11. 戦争法の廃止を求め、自衛隊の海外派兵に反対する。あらゆる民族排外主義に反対する。
12. 武器輸出に反対する。軍需産業化による経済の軍事化に反対していく。
13. 戦争動員のための愛国教育反対。「日の丸」「君が代」の押し付け反対。
14. 日本の民間資金を奪い取るカジノ解禁に反対していく。
15. 消費税の10%への増税に反対する。また法人税減税に反対する。災害の無い国作りを求めていく。
16. 「働き方改革」による規制緩和反対。残業代ゼロ法案と長時間労働反対。
17. 非正規労働の原則禁止。真の男女平等の闘いを展開していく。
18. ハラスメント防止法の制定と人権教育の強化を求めていく。
19. 公益通報者保護法の罰則強化を求めていく。
20. 格差社会の解消と真の男女平等を実施せよ。水道事業の外注化に反対する。
21. マイナンバー制度による国民の管理・支配の強化に反対していく。
22. 原発の即時安全装置の設置と自然エネルギーへの転換を求めていく。
23. 労働者への違法解雇等への懲罰的慰謝料を認めよう求めていく。
24. ホームページとブログを充実して、労働者への権利の拡大のために尽くす。
25. ユニオン・ニュースの充実と投稿の活発化を図る。
26. 組合員の宣伝・拡大活動・団体交渉・学習会・交流会への積極的参加をうながしていく。
規約改正(案)
(1)第6条組織規定の2項
「大会では」の後を次のように改正する。
全ての財源及び使途、主要な寄付者の氏名、並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合委員の寄り委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であるとの証明書とともに、少なくとも毎年年一回組合員に公表される。
改正理由(委託を「委嘱」とするよう文言変更の指導があった)
(2)第7条役員の1項3行目
「委員長が・・・」の条文を次のように改正する。
委員長が病気や事故等で職務を遂こうできない時は役員の中から委員長代行を互選する。
改正理由(顧問は組合員から選出されないので削除せよ、との指導趣旨である)
(3)第14条同盟罷業(ストライキ)の前3行を以下のように改正する。
交渉権・スト権・妥結権の投票は組合員の直接無記名投票により、有効投票数の過半数の賛成で成立する。
改正理由(大会代議員を削除し、「有効投票数の」を挿入せよとの指導による)
(4)第15条組合規約の改正の項を次のように改正する。
組合規約の改正は大会の討議を経て組合員の直接無記名投票による組合員総数の過半数の賛成で行うことができる。
改正理由(この項に「組合員の直接無記名投票による組合員総数の」を挿入するようにとの指摘を受けた)
新世紀ユニオンの現規約は、拠出金裁判時の裁判官の指導で規約を改正したが、兵庫県労働委員会の資格審査に伴い、その指導を受け、昨年の大会で改正したものであるが、地方の労働委員会で指導内容に違いがあり、再び次期第20回大会での改正を指導されたものです。正式には大会議案書で提案することになります。
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