日本経済が強欲の資本主義に転換して以後、非正規化などで労働者の賃下げが進み、日本経済は20年以上も継続的に個人消費が縮小し、国民経済が縮小再生産のサイクルにはまっている。
企業だけがもうけをため込み、内部留保は460兆円を超える規模にまで膨れあがっている。物が売れないと賃金も下がる、賃金が下がると個人消費が縮小する、個人消費が下がるとますます物が売れない。この負のサイクルは財界の賃金抑制策に原因がある。
ただでさえ賃金が下がり続けているのに、法人税を減税して消費税を増税するのだから、個人消費はさらに冷え込むことになる。
企業はサービス残業や、長時間労働や、有休を取得させないなどの強欲な労務管理で目先の利益を追い求め、社会保険料の負担を逃れるために非正規労働者を増やし続けている。経済界は設備投資で生産性を上げるのではなく、強欲な労務管理で安上がりに搾取率を上げることばかりやっている。
その結果日本の時価あたりの労働生産性は46.8ドルで、イタリア(57.9ドル)やカナダ(54.8ドル)よりも下になった。OECD加盟36か国中日本の生産性は21位だ。企業が460兆円もため込んでいるが、これは生産性を上げるために設備投資を行わない結果だ。
経団連の2020年経営労働政策特別委員会報告は、賃上げについて個別企業の判断にゆだねている。ここには資本家階級としてのデフレ脱却の考えはみじんもない。個別企業に賃上げをゆだねると、利潤追求を使命とする個別企業は、賃上げ抑制へと動くのは当然だ。
そこには国民経済を拡大再生産へと舵を切る考えは見られない。ただ強欲な個別資本家にゆだねるだけなのだ。これでは賃上げ抑制にしかならず、個人消費が継続的拡大へと転換するのは不可能だ。経団連の指導者は資本主義の経済が全く理解できていない。
経済界が強欲なだけではただの亡国の徒だ。国民経済が貧困化し、国民が貧乏になっても企業の内部留保が増えればいい、こんな経済政策では日本の未来は暗い。資本家と労働者は互いに相手を必要とする「対立しつつ統一した関係」であるのに、自分の懐だけ豊かになればいいというのだから経団連は強欲なだけに過ぎない。
経済政策で重要なのは個別資本家の利益だけではなく、国民経済が発展することで国民が豊かになることでなければならない。日本経済に必要なのは非正規化で賃金を下げることではなく、拡大再生産へ移行できるように大幅な賃上げが必要なのだ。
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