冷戦が終わり世界の市場が一つになった時代、ブローバリズムが世界通貨ドルを持つアメリカ社会をますます豊かにした。ところがそれが同時に、アメリカの格差社会を極限まで拡大したのである。トランプ大統領の登場はブローバリズムの逆流ともいえる事態であった。今回の大統領選挙は、米産軍複合体と金融資本が逆流減少を阻止したということである。
企業は好業績を上げているのに労働者の賃金は抑制され、その結果アメリカの格差はますます拡大した。アメリカの労組や地域団体などの「社会正義のための団体交渉」がシンクタンクや非営利事業団体と合同で発表した報告書によれば、「アメリカの億万長者647人の資産総額は、3月半ば以降で9,600億ドル近く増加した。」また3月以降新たに33人の億満長者が生まれているという。
彼ら億万長者の資産総額はパンデミックが始まって以降約1兆ドル(約105兆円)も増加した。(こうした傾向はアメリカだけでなく日本や欧州も税金や公的資金をつぎ込んで株価を釣り上げ、結果金持ちだけが豊かになっている。)
アメリカの新たな失業保険申請数は100万件を超え、失業給付の特例措置を受けていた失業者は約1,400万人に上る。住宅の家賃が払えなくなった住宅退去処分申請数は27の都市で計16万2,000件に達し、アスペン研究所の調査によれば新たに最大4,000万人が家賃が払えず、立ち退きを迫られる恐れがあるという。
こうしてコロナ渦も重なってアメリカではホームレスが激増している。ホームレスを収容する大型施設内でコロナが感染し、多くの死者も出している。アリゾナ州マリコバ郡では7,500人が暮らすテント村ができている。アメリカのホームレスはコロナ渦で急激に増大している。
アメリカ議会は21日に9,000億ドル(約93兆2,200億円)規模の追加経済対策を可決したが、トランプ大統領は現金給付一人600ドルを2,000ドルに引き上げるよう求め署名を拒否していたが、最近とうとう署名した。
民主党は現金給付一人2,000ドルに応じたが、共和党議員が反対して潰れた。白人貧困層の支持を受けるトランプ大統領の方が正常に見えるのだから、アメリカ社会は歪み・ねじれているのである。
アメリカ企業はコロナ渦の下でも好業績を上げているのに、その富が金持ちの懐に収まり、富の再分配の仕組みが機能しない分断の社会になっているのが今のアメリカなのである。アメリカ民主党のサンダース上院議員は「納税者の方が、アメリカで一番儲けている富裕層や企業を支援しているのが現状だ。
これは道徳的におかしいし、変えなければならない。労働者が生活していけるだけの収入を得られるようにする必要がある」と語っている。
こうしてグローバリズムによって、アメリカ社会は分断・対立の社会となっている。アメリカはすぐには中国との覇権争いに入る力はなく、当面内政に注力しなければならない事態なのである。一つだけアメリカの復元力を示す動きがある。それは民主党の左派の若者たちがマルクス主義を学び始めたことである。
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