(1)我々を取り巻く世界情勢
今年度の情勢の特徴は、冷戦崩壊後のグローバル世界の相対的安定期が終わりをつげ、欧州を政治的に分断するウクライナ戦争が勃発したことである。
ウクライナ戦争はアメリカが2014年のウクライナにおける右派クーデターを仕組み、反ロシアの極右政権を打ち立てたことから始まる。
そのウクライナがNATO加盟を企てて、ロシアを挑発したことから戦争となった。アメリカの狙いはロシアに侵攻させて、ユーロ圏の拡大を東欧までに押しとどめることであり、そのことでドル支配の延命を果たすこと、またロシアのプーチン体制を突き崩すことも狙いであった。
折からの新型コロナウイルスの全世界への感染で、世界経済は多大な打撃を受け、欧米各国は金融の異次元緩和で企業の倒産を防ごうとした。金融緩和はいわばインフレ政策であり、その付けとして世界全体がエネルギー・穀物・原材料の高騰を招くことになった。
このインフレにウクライナ侵攻への対ロシア経済制裁が原油の高騰を招くことになった。とりわけ中東各国は、欧米のロシアへの戦争責任追及に反発した。
それはイラク戦争で一般市民200万人が殺され、アフガン戦争では50万人が殺されたが、アメリカの戦争責任は追及もされなかった。
こうして中東産油国が非米の傾向を強め、ロシア・中国・イランなどの陣営に立つことになり「産油国プラス1」というロシアを加えた原油カルテルが機能し、結果原油価格は高値に維持されることになった。
ロシアは欧州への天然ガスを止めるという逆制裁を実施し、エネルギー価格は高騰し、欧州経済とりわけドイツ経済は危機に直面することとなった。
穀物・原油・天然ガス・各種原材料が高騰し、先進各国経済は物価の高騰を招き、各国は物価を下げるために金利上げ競争を行い、世界経済は景気後退を招くことになった。
ニューヨーク株式市場は一日で1,200ドルも暴落し、これに連動してアジア各国も株価が暴落した。
世界は独裁連合ともいうべきロシア・中国・イランなどと欧米諸国、さらにはインドなどの非同盟諸国に分裂することとなった。世界的なインフレによる物価の高騰は世界各地で階級対立を激化させ、世界で独裁国家が増えることとなった。
アメリカはウクライナ戦争でロシアの弱体化と、EUの弱体化を進め、同時に習近平の中国の先進技術の面での封じ込めを画策している。
欧州とりわけフランスとドイツはアメリカの仕打ちに反発しながらも、安全保障での対米従属ゆえに、現状ではウクライナへの軍事支援を行っている。
アメリカが欧州では戦争で分断策を取り、アジアでは中国との経済関係を維持している。この違いは欧州はユーロ圏をめざし、中国は今のところドル経済圏での成長を目指しているからであろう。
ウクライナ戦争がもたらした重要な地政学的変化は、極東における日本が3正面の事態に直面し、政府はアメリカの求めに応じて、約5兆円の防衛予算の2倍化を実行しつつある。
世界経済は大経済恐慌の兆しを示しつつ、ブロック化と、軍事力による国境線の変更の局面を迎えている。
世界は大経済危機と戦争の局面に突き進んでいることを認識しておくことが極めて重要となっている。
(2)我々を取り巻く国内情勢
日本の国内情勢の特徴は、腐敗した一強政治家が暗殺に倒れたことである。
このことで自民党政権と隣国のカルト=旧統一教会の癒着が明らかとなり、世論の追求が始まったこと、同時に東京オリンピックをめぐる贈収賄事件が検察の追求を受けることとなった。
この2つのことは、一強政治家が亡くなったことで初めて可能になった。検察の追求が一強政治家の腐敗に加担していた電通にまで及ぶのかどうかが焦点となる。
安倍政権が長期政権となったのは、彼の内閣府が官僚の人事権を握り、マスコミを統制したことで、マスコミや官僚組織が忖度し、政治の腐敗が段階を画して強まったことである。
この安倍派の拡張と一強を可能にしたのは旧統一教会と「勝共連合」などの関連団体との癒着であり、この一強体制が日本の政治腐敗をはびこらせたのである。
安倍政権のいわゆるアベノミクスの政策は、強欲の資本主義の政策で国民経済を縮小させ日本の経済力=GDPは中国の3.5分の1にまで縮小した。
アベノミクスの誘導した円安は輸出する大企業は儲けたが、内需依存企業は原材料の高騰で存続の危機となっている。
一強政治家の死で始まった、旧統一教会と自民党の関係、さらにはオリンピックの贈収賄事件は、アベノミクスを進めた政治勢力への追求であり、日本の経済界が腐敗した一強政治の排斥まで追求できるかが焦点である。
右派政権である一強政治は、その反共思想から労働組合を敵視し、労組の家畜化と、闘うユニオンをつぶしを繰り返した。
結果日本の労働者組織率は最大58%以上であったのが2019年遺は16.7%にまで減少した。
これは小泉改革から安倍改革の結果であり、労働者は強欲の資本主義の政策で、非正規化と労働の奴隷化で総じて貧困化した。
とりわけ2022年度はコロナ禍の中で労働者の貧困化は急速に進み、世界的インフレとウクライナ戦争で生活必需品は16%以上値上がりした。
厚労省が9月6日に発表した毎月勤労統計調査によれば4か月連続で実質賃金はマイナスとなった。
同じく厚労省が9月9日に公表したところでは生活が苦しい所帯が「53%」にも上っている。
(3)新世紀ユニオンへの権力の攻撃について
新世紀ユニオンへの攻撃は、当ユニオンが一強政治家の森友・家計問題を批判してから始まっている。
はじめは裁判中の事案が弁護士の裏切りで、和解ができず、強権的に次つぎ敗訴したことである。
さらにはブラック電機のユニオンの宣伝を口実にしたスラップ訴訟、この訴訟は当初、証人保護法を使った委員長の違法逮捕の政治的陰謀であったことが明らかとなっている。
また元会計係を自称するユニオン組合員へのデマ振りまきでの切り崩し攻撃。さらにはネット上での「狂人日記」のデマ中傷、これらが新世紀ユニオンへの組合つぶしの攻撃であった事は明らかである。
それゆえスラップ訴訟事案では大阪地裁も大阪府労働委員会もすべてが公安委員の社長のブラック電機を支持している。
裁判所も労働委員会も組合つぶしを擁護していることこそ、一強政治家が作り上げた政治腐敗の表れであった。
またコロナ禍での政府の雇用調整助成金が一人、一日最大1万5千円助成されるためユニオンが取り組む解雇事案が無くなったことも新世紀ユニオンが財政的に追い詰められることになった。
労働者のために闘うユニオンは叩き潰すというのがアベノミクスの政策である。本来資本主義経済は労働組合のストライキで賃金上がることで需要が継続的に拡大し、経済成長が維持できる。
反共思想に毒された一強政治家の反労組の政策では、日本経済が縮小を続けることは明らかである。
アベノミクスの政策が反国民的であるのは自明であり、アベノミクスも旧統一教会の持ち込んだ政策である可能性は高い。
どこの宗教が信者が破産するまで搾取するだろうか。
年間850億円も韓国に送金していたというのである。旧統一教会は、日本が韓国を植民地支配をしたから金を出すのは当然だと言う。
一強政治家がこのような反日詐欺団体と癒着していたことを、全て明らかにすることが必要である。しかし現在の岸田政権は安倍派に依存している。
新世紀ユニオンが現在闘っている組合つぶしとの闘いは、日本社会において民主主義を守る闘いであり、憲法28条の団結権と団体交渉権、ならびに団体行動権を守る闘いなのである。
正義は我々の側にあるが、政権が腐敗しているのでユニオンが負けるのは避けられない。
裁判所も労働委員会も嘘の労働相談でユニオンを陰謀にかけた側の「裁判を受ける権利」を認めている。あきれるほかない。
狂人日記」については、我々は弁護士を立てて2度の裁判で勝訴したが、ネット業者が犯人に氏名を開示しない。
一度は5チャンネルは「狂人日記」を削除したが、これは同一人が女性や経営者や組合員など10数人に成りすましていたことが分かったからであった。
しかし再び貼り付けた。イタチごっこであるので、法的不備で違法行為のデマ中傷がやり得となっている。この面でも日本は民主主義社会とは言えないのである。
スラップ訴訟は近く判決が出るが、元社長秘書の組合員が犯人側の手先で、逃げた以上、我々には証人がいない。
つまり腐敗した権力側との闘いは合法的方法では不可能だということになる。
裁判所も労働委員会も組合つぶしの加担者なので、これからは、小林多喜二が小説で描いた戦前の非合法の労働運動を研究しなければならない時代であることを教えてくれている。
(4)新世紀ユニオンの見えにくい活動形態について
以上の階級敵の組合つぶしの攻撃の中で、新世紀ユニオンは争議事案をできるだけ見えにくい形にすることで、組織を防衛してきた。
過去に裁判を闘い、また現在も闘っている組合員は思想も強固であり、闘いの社会的意義も理解できるので、デマ・中傷では切り崩せない。闘いや宣伝には創意工夫すれば見えにくい形でもやれるのである。
したがって、新世紀ユニオンが見えにくい形に移行してからは敵は攻撃できない事態になっている。
日本全体がテロ社会になりつつある中で、合法的闘いを堅持している新世紀ユニオンを攻撃する意味が我々には理解できない。
おそらく公安は戦前の警察独裁国家にしていきたいのだと思われる。したがって我々は日本社会が民主主義を回復するまでは見えにくい活動形態を研究・実践して行くことになる。
この間コロナ禍で解雇事案が減少しており、また和解が成立しても拠出金を払わない者がいるため、新世紀ユニオンは深刻な財政危機となっている。
ゆえに現在購読している各種資料や新聞、大阪労働者弁護団への賛助会費などの諸費用を削減することを検討しており、具体的にはスラップ訴訟の判決が出た後、運動方針(案)の中で提案したいと考えている。
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