問私はある先端産業の仕事をしていますが、最近能力を理由に何回も退職勧奨を受けています。
東京への勤労命令が出たので応じたら「向こには君の仕事がない」と言われました。すでに降格・減給を受けていますが近くまた減給を通告されています。
私は、能力はあると思っているのですがどう対応してよいか分かりません。
答 最近労働者の能力を理由にした解雇や退職強要が増えています。「能力がない」「勤務成績が悪い」などを理由にした解雇は、労働者を自己退職に追い込む上で、もっとも都合の良い理由と考えられています。
能力主義を企業が導入して以後は、企業は即戦力を求め、昔のように人材を長期に計画的に育成していくということをしなくなりました。
企業にもよりますが、まるで使い捨てのように手っ取り早く退職に追い込むため、賃下げをしたり「能力がない君にはしてもらう仕事がない」などと言って辞表を出させようと迫ってきたりします。
労働者の方も能力を口実にされると自信を無くし、自分から退職届を書く人が少なくありません。
「労働者の能力」を口実とする解雇は、その労働者に対して会社が必要な体系的教育訓練がおこなわれたか、また配置転換などで解雇を回避する努力がおこなわれたかが重要になります。
企業が労働者の能力を問題とする場合、具体的には顧客のクレーム、仕事の失敗、営業成績の悪さ、接客態度が悪いなどを挙げてくる場合が多い。しかし会社が当該労働者に対し、何の教育もせずに能力を口実として解雇することはできません。(ただし特定のポストや職務のために上級管理職などとして中途採用され、賃金面で優遇されている場合には教育訓練や配置転換は問題とされないので注意して下さい)
就業規則でたとえ「業務能力が著しく劣り、または勤務成績が著しく不良の時は解雇できる」となっていても、それが該当するかが問題なのです。つまり能力の不良の程度が判断の分かれ目となるので、ケースバイケースで判断するしかありません。
能力が著しく不良といっても教育・指導を一切おこなわずに「能力向上の見込みがない」とは言えません。むしろ能力の向上を図る余地があると判断できますから、この場合解雇は無効です。
つまり会社から「能力がない」として退職勧奨を受けたり、退職せよと迫られても、絶対に辞表を書いたり、退職届にサインをしてはいけないのです。
このような場合は「努力するので教育・訓練の機会をつくってほしい」と求めて下さい。それでも辞めないなら「賃下げの辞令を出す」と脅してくる場合があります。
この場合には辞令を拒否して、裁判で闘う道を検討するべきです。
とにかく今日の厳しい雇用情勢の下では、退職を認めても新しい就職先が簡単には見つからない場合が多いので、裁判を闘って雇用を守る、そのための証拠を残す、あるいは就職先を見つける期間を確保するため、まとまった退職金(解決金)を獲得することが必要なのです。
新世紀ユニオンは退職を迫られているあなたを最後までサポートしますので遠慮せずご相談下さい。
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