クリントンのオバマ路線の継承、すなわち現状維持と比べ、トランプは変化を求めるアメリカ国民の期待を集めるのが巧い。自分が大統領になれば「安全が約束される」「強いアメリカを作る」「数百万の雇用と数兆ドルの富」をもたらす。移民への反発を利用しメキシコ国境への壁の建設、中国との貿易協定見直し、北米自由貿易圏も見直し、TPPも反対、これでは強いアメリカどころか、アメリカはもっと弱くなりそうだ。
トランプの「アメリカ第一主義」は、アメリカの孤立路線となる可能性がある。同盟国は見捨てられ、世界の貿易は縮小し、世界大恐慌を招くかもしれない。どうやって安全なアメリカ社会をつくるのか? 不明で、できもしないカラ約束を並べただけに見える。
しかし今のアメリカ国民はそんなトランプに期待しなければならないほど変化を求めており、どう見てもクリントンに勝ち目はない。クリントンが巻き返すには国民の変化を求める気持ちにこたえなければならない。
トランプの掲げている政策はアメリカが今以上の孤立主義であり、同盟国に高負担を求め、支配従属同盟は崩壊へと進むほかないように見える。各種の貿易協定に反対や見直しをしていけば、アメリカは経済的に孤立していくほかないであろう。
トランプのアメリカは、中国やロシアやイランの地域覇権主義の国々を拡張主義へと導きかねない危険を持っている。新興の拡張主義の国にとって、トランプの「アメリカ第一主義」は好機であり、世界を、自由と民主主義の国と、絶対主義的支配と統制と強権の陣営へと二分しかねないのである。
トランプが大統領になれば、アメリカとの2国間の安全保障協定は駐留米軍への全額負担が条件となり、当然にもアメリカの同盟国はアメリカとの同盟を見直す方向へと進むであろう。
日本にとっては、アメリカを頼りとする安倍政権の安全保障政策はアメリカの孤立主義の下では成り立たず。安倍政権は安全保障政策を自力での防衛を主要なものへと転換するほかないであろう。
アメリカの大統領選が世界を多極化へと一気に変えることになる可能性が強まっている。安倍政権は米大統領選の前にも衆議院の解散総選挙で政権の長期化の基盤を固めないと政権が経済危機から崩壊する可能性がある。世界の多極化とは流動化の時代であり、合従連衡の外交戦の時代でもある。日本も流動化していくことになる。
日本は、対米自立して自分の国は自分で守れるようにしなければならない。
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