電通の高橋まつりさん(24歳)が過労自殺してから労働局が抜き打ちの立ち入り調査を行い塩崎厚生労働大臣も「極めて遺憾なケースだ。実態を徹底的に究明したい」と語って長時間労働にメスを入れ始めたかに見える。
しかし国会では労働者のただ働きを合法化する「高度プロフェッショナル制度」(=残業代ゼロ法案)が審議されている。この残業代ゼロ法案は年収1075万円の管理職を対象にしているが、それは突破口を開けるためで、経団連は年収400万円を残業代ゼロにする事を以前から主張している。
日本経済がデフレとなり、縮小再生産のサイクルに入ったのは労働分野の規制緩和で非正規化が進み、労働者の賃下げが進み、個人消費が長期的に低下を続けている点に原因がある。したがってデフレを克服するには大幅な賃上げと共に、長時間労働の是正、残業代割増率の100%への改正で、残業よりも人を雇うこと、人を雇うよりも省力化投資で生産性を上げることが企業が高い利益率を上げることができること、それへの政策誘導が必要なのだ。
ところが政府の「働き方改革」は口先だけで、相変わらず時代遅れの長時間労働で、絶対的剰余価値獲得を目指す政策に過ぎない。長時間労働による絶対的剰余価値獲得よりも生産性を上げる相対的剰余価値獲得の方が、すなわち、設備投資で生産性を促す方が、けた違いに利潤が多いことを企業家は理解しなければならない。
ところが小泉改革からの行革の流れをくむ安倍政権は、労働分野の規制緩和の絶対的剰余価値の追求ばかりで、結果日本経済は生産性が他の先進国よりも大幅に低下したのである。経団連や安倍首相はマルクスの資本論を学んだ方がいい。ドイツ経済が未だに拡大成長を続けているのは資本論を学んだ学者が多いからである。時代遅れの「高度プロフェッショナル制度」という残業代ゼロ法案の成立や裁量労働制の拡大を目指す安倍政権は愚劣としか言いようがない。
我々が提案するように(1)最低賃金の1200円へのアップ。大幅賃上げ。(2)残業代割増率の100%へのアップ。(3)残業時間月20時間の上限設定。で省力化投資を促せば日本経済は拡大再生産へ転ずるであろう。長時間労働をさせるより人を雇う方が安あがりにで、さらに人を雇うより設備投資の方がけた違いに利潤が多いことを経営者は体験し、学んだ方がいい。
安倍政権の「働き方改革」は規制緩和から規制の強化へと転換する内容でなければならない。長時間労働の禁止で設備投資を促せば、生産財生産分野も消費財生産分野も活性化するのは間違いない。安倍政権は労働分野の規制緩和をやめ、国民経済の拡大再生産へと舵を切るべきであろう。目先の強欲で莫大な利潤を失っているバカな財界人を安倍首相はキチンと教育し直した方がいい。
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