トランプのトヨタ批判や日本の自動車貿易への不公平批判は、的外れであるばかりか、事実をキチンと認識していない、酷いものだ。トランプは「日本の自動車市場を閉鎖的だ」と批判したが世耕経済産業大臣によると「日本ではアメリカの自動車に関税は全くかからない」のである。
トランプ大統領は「アメリカは日本国内で販売が増えていないのに、日本はアメリカに何十万台も輸出している」と語っているが、実は日本の自動車会社はアメリカに工場を作り生産しているので、アメリカの雇用に貢献している。
アメリカで自動車雇用が減少しているのはアメリカの自動車メーカーが工場を閉鎖し、賃金の安いメキシコ等に工場を移転した結果なのである。
トランプ大統領に正しい現状認識の資料が届いていないことが問題だ。メキシコとの国境に壁を作り、排外主義・保護貿易主義をやれば世界が同時不況になる。トランプ大統領が就任直後にTPPからの永久離脱を決定したのも同じことが言える。
TPPは中国の「アジア・インフラ投資銀行」「新シルクロード構想」に対抗し、アメリカが(=ドルが)自由貿易圏を取り仕切る、言わば経済戦略として推進していたものだ。
ところがトランプの認識はTPPはアメリカの雇用を奪う、という認識なのだ。あまりにも一面的な認識と言うべきだ。アメリカがTPPからの永久離脱して大喜びするのは中国覇権主義である。これでは中国がアジア経済を取り仕切ることになりかねない。
自由貿易主義とは世界通貨としてのドル発行益をアメリカが手に入れ、ドルを印刷することで世界の安い商品を手に入れられるという、アメリカには最も都合のいい経済制度なのである。アメリカが世界最大の軍事力を維持できたのも、このドル支配の仕組みによるところが大きい。
アメリカの膨大な貿易赤字は、貿易黒字国(債権国)に米国債を売り付けることで解決してきた。
ドルが年々安くなることで、アメリカはこの借金(元本)を返す必要がなくなっていくのである。つまりこの「アメリカ国債本位制」が、赤字の覇権国アメリカが対価もなく他国を搾取する仕組みであった。
この仕組みがあったからアメリカと旧ソ連の軍拡競争に置いて、アメリカは費用を同盟国に負担させることができたのである。
トランプはこの仕組みを理解できておらず、保護貿易主義で企業に国内に投資させ工場を作り、コストの高い商品を作るのであるが、高価格の商品を誰が買うのかはトランプは考えていないのだ。つまりトランプはアメリカが維持すべき「アメリカ国債本位制」を理解していないのである。
これではトランプはアメリカ金融資本に暗殺されるか、それともスキャンダルで追い落としにかけられるほかないであろう。
つまりアメリカは債務国としての立場を通じて金融面で他国を支配してきたのである。このシステムをトランプは知らないこととはいえ潰そうとしている。誰かが教育して分かる人物でもなさそうなので、世界中が経済・政治の混乱を心配している。
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