自動車・電機・不動産・建設などの企業で解雇や内定取り消しが続出している。主に非正規労働者が中心に3万人以上が解雇もしくは雇い止めされている。ソニーが16000人(内正社員8000人)日本IBM1000人、大京450人、西友350人、レナウン300人の希望退職者の「募集」に乗り出している。ここで言う希望退職の「募集」とは退職強要のことである。
トヨタやキヤノンのように黒字でしかも莫大な内部保留を持ちながら早めの人員削減に乗り出している会社が多い。派遣の場合、7割が契約期間途中での解雇であり、いずれも整理解雇の4要件を満たさない違法性の強い解雇となっている。日本企業の場合バブル崩壊の経験から早めの人員整理に踏み出す傾向がある。これらの企業の労組はキチンと違法解雇に反対すべきである。
労働者がはっきりさせなければならないのは、会社が解雇できるのは「やむ得ない事由がある場合」「契約期間が満了するまで」解雇は出来ないのであり、判例法としての整理解雇の4要件は正社員・非正社員を問わず適用されるのである。
つまり(1)人員整理を行う業務上の必要性があるか(2)解雇回避の努力をつくしたか(3)整理解雇基準と人選の合理性があるか(4)組合及び労働者に十分協議し説明したか。以上の4要件を満たさない解雇は基本的に違法である。
ましてや黒字経営で内部保留も多くあり、整理解雇の必要がない解雇は我々は断じて容認できない。また期間従業員を契約期間中に解雇することも違法であり、解雇と同時に寮や社宅を追い出すことも反人道的と言うべきで、非難されなければならない。
政府が雇用対策として検討している素案によれば派遣労働者を正社員として雇用する会社に1人100万円の助成金制度創設を言っているが、補助金は解雇された失業者に出すべきで、企業への補助金が実際には労働者への解雇を誘発している事を知る者にとっては愚策としか言いようがないのである。
ハラスメントで労働者を自己退職に追い込み、その上で新たに人を雇うことで政府の補助金を手に入れる経営者が実際にいるのである。労働相談を受けていて言えることは「退職勧奨」が実際には違法な退職強要になっている例が多くあるということである。
退職勧奨がモラル・ハラスメントととしてやられている職場では、労働者の鬱病が急増し自殺者が出かねない状況が生まれる。今の日本に必要なのは違法な解雇の中止とともに全失業者への失業手当の支給、また「ハラスメント防止法」を制定して精神的な暴力を加えることが犯罪であることを法律で明確にする必要がある。
ヨーロッパ諸国ではそうした法律がすでに制定されている。日本ではモラルハラスメントが野放し状態となっている為にそれがリストラの手段としてやられるまでになっているのである。自殺大国の原因の一つにハラスメントが野放し状態となっていることがある。
日本の経営者はかつては雇用を守ることが企業の社会的義務と考えていた事もあったが、バブル崩壊後すっかり拝金思想に取り付かれて、愚劣なリストラを繰り返すようになった。経営者は違法な退職強要と不当解雇を直ちにやめるべきである。
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