「連合労働貴族」が家畜労組の本質を露呈して政府が2年間棚上げしていた「残業代ゼロ法案」成立に道筋を付けるために条件付きで賛成したのはまずかった。その後連合本部が労働者の抗議デモに見舞われ、「連合」参加労組から批判が続出し、しかも相談も受けていない内に「連合」が、政府や財界と結託した事に民進党までもが不満を表明しはじめた。
「連合」労働貴族が愚かなのは、「残業代ゼロ法案」に賛成し、労基法を改悪すれば、国民経済が一層縮小(=デフレ)することが分かっていないことだ。財界も政府も無知としか言いようがない。
日本経済の拡大再生産への転換には生産性を上げるための省力化投資に火を付ける政策が必要がある。ところが政府の規制緩和路線は、裁量労働制の拡大「残業代ゼロ法案」など長時間労働の賃金を払わなくていい政策ばかりだ。これでは絶対的剰余価値の獲得ばかりで、経済は縮小する。
絶対的剰余価値の獲得には1日24時間の限界があり、資本主義の発展のためには日本は生産性を上げる相対的剰余価値の獲得に舵を切らねばならない。ところが安倍政権がやっている事は資本家の目先の利益の後追いばかりで、日本経済の拡大再生産に必要な設備投資を誘導する政策が見当たらない。むしろ長時間労働で絶対的剰余価値を追求する政策ばかりだ。資本主義経済の仕組みがが分かっていない証拠である。
ドイツではリーマンショック後マルクスの「資本論」が売り切れた。ドイツが今でも賃上げを行い拡大再生産を維持しているのは偶然ではないのだ。日本経済を拡大再生産に導くには賃上げによる持続的個人消費の拡大が不可欠なのに、安倍政権は賃下げの政策(=目先の強欲)ばかり進めている。しかも年金資金で株式を買い、日銀の国債引き受けでインフレ政策をとる。これでは国民の預貯金や年金が将来半減する事態を招くであろう。
「連合」労働貴族が「残業代ゼロ法案」に賛成したのは、労働者への裏切りであるだけでなく、国民経済をより縮小に導くことで国民全体への裏切りでもある。愚かにもほどがある。少しは資本論を学んだ方がいいし、戦後労働改革の果たした経済的側面を学んだ方がいい。自ら家畜労組の正体を暴露した「連合」の愚かさを指摘しなければならない。また大学からマルクス経済学を一掃した財界の愚かさは、デフレ経済を招いた上に、その解決策も分からない体たらくなのである。
日本経済を成長軌道に乗せるには設備投資をしない会社には内部留保に大担に課税すること。省力化投資を誘導するため最低賃金を一律1,200円に上げること、残業代割増率を100%にすること、同一労働同一賃金を徹底すること、等が必要なのである。ところが安倍政権は国民経済を縮小する愚策ばかりやっているのだからあきれるしかない。
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