政府は営業職などに裁量労働制を拡大しようとしている。事は営業職だけではない、政府は2月6日の閣議で、裁量労働制について「契約社員や最低賃金で働く労働者にも適用が可能だ」とする政府答弁を決定した。契約社員や最低賃金で働く労働者は単純労働だ。これすら時間管理を止め成果で管理するというのだ。
この場合見なし時間よりも長く働けば実質的には最低賃金割れが生じる。しかし裁量労働制の場合企業は時間管理をしない。つまりいくら長時間働いても残業代は出ず、最低賃金制度も適用できないことになる。賃金の高い層は「残業代ゼロ法案」で残業代ゼロとし、賃金の低い層は「裁量労働制の拡大」で残業代ゼロとするのだ。これでは全ての労働者が残業代の無い長時間労働を強いられる。これでは過労死の大量生産になりかねない。「脱時間給制度は残業代ゼロにつながるから反対」という枝野氏(立憲民主党代表)の主張は正しい。
時間管理をしないのだから過労死しても労働者側は立証できないことになる。最低賃金の単純労働にまで裁量労働にするのは筋が通らない。営業職も成果が出なければ際限なく労働時間を延ばすようになる。日本の最低賃金はすでに韓国よりも200円も少ない。これで長時間のサービス労働をしなければならなくなるのは、事実上のただ働きの拡大であり、最低賃金制度の空洞化だ。
こうした裁量労働制の際限のない拡大は、経営者の意識を賃金の払われない労働時間の延長に向けさせる効果を持つ、つまり経営者をして設備投資による生産性の向上という方向に向かわせない危険がある。これは日本の国民経済にとって縮小再生産を一層深刻化させる危険がある。脱時間給制度はあまりにも経営者にオイシイ制度であり、労働の奴隷化を一層進めることになる。賃金は時間管理で支給するほかなく、長時間のただ働きは過労死を大量生産する制度であり、労働力の食いつぶしは日本経済にとっても危険な手法なのである。
日本経済の停滞・縮小は、政府のこうした不払い労働の拡大一辺倒の政策に原因があり、こうした規制緩和は日本経済の生産性を低下させるので誤りなのである。労働分配率の度を越した低下は、日本経済のデフレを深刻化させ、労働者の労働意欲を低下させ、過労死を生むので止めた方がいい。資本家階級の経済的利益から見ても合致しないであろう。政府とその政策当局者はマルクスの「資本論」を少しは学んだ方がいい。安倍首相の労働分野の規制緩和は、既に「愚劣極まる」レベルに突入している。
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