職場で上司や社長から、退職勧奨が始まっていたり、退職が強要されている場合、矛盾関係は既に敵対的になっています。このような場合誰かに謝るよう促されても、絶対に謝罪してはいけません。それは不利になるからです。
問題は、仕事の上でミスをした場合、そのことが自分のミスであれば謝罪したり、始末書を書いてもかまいません。しかし会社が自分をやめさせようとしている場合、始末書を書くと失敗を認めたとして解雇して来る場合があります。このような場合は始末書や顛末書を出せと求められた場合、ミスの原因とともに、どうすれば再発防止が図られるか、も書いて二度と失敗しない対策・措置も書いておく必要があります。
自分が、会社からミスをしたとか、犯罪的な事をしたと言われても、その出来事の内容が嘘であったり、出鱈目なイチャモンを付けて解雇して来ることが明らかな場合は、始めから始末書など書かない選択(これを内心の自由といいます)もあることをはっきりさせておくべきです。もし書くとしてもミスの原因と解決策、再発防止の対策まで踏み込んで書いておけば、解雇の口実にはしにくいのです。
上司や社長との矛盾が誰かのデマや、偽りの認識から生じている場合は、この矛盾はまだ敵対的ではありません。誤解を解くために社長や上司と面談することで解決できる場合もあります。ただし相手が解雇するためにデタラメの理由を並べてくる場合(=敵対的矛盾になっている場合)あるいは辞めさせるために怒鳴りつけたり、パワハラを仕掛けてくる場合(これも敵対矛盾)は、謝罪や言い訳は不利になるだけなので絶対にすべきではありません。
つまり敵対的矛盾は闘争による他には解決できないことを知らねばなりません。敵対的矛盾であるのに社長に謝罪したばかりに、闘えなくなることも少なくないのです。同僚との行き違いや誤解は人民内部の矛盾なので話し合い(=批判と自己批判)で解決できます。しかし敵対的矛盾は闘争でしか解決できないのです。
ところが労働相談をして来る多くの相談者は、この矛盾の性質が認識できていません。既に敵対矛盾になっているのに、始末書を言われるまま書いて解雇の理由を作ってしまったり、謝罪することでパワハラを「仕事の上のトラブル」にすり替えられたりします。これは矛盾関係(敵対的か、そうでないか)が分析できていないことから生じます。
労働者と経営者の矛盾関係は、仕事の上では協力関係にありますが、賃金等の労働条件や、解雇等雇用をめぐる場合は全て対立関係であるのです。ですから相手が「辞めろ」と言っている時は絶対謝罪してはいけないのです。敵対的矛盾は「闘争」以外に解決できないことを認識上からはっきりさせておいてください。
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