中小企業125万社を傘下に持つ日本商工会議所の三村明夫会頭が19日朝東京都内のホテルで加藤厚生労働相と会談した。訴えた内容は「各地の人手不足は悲鳴にも近い」こと若者の流出で地方が疲弊していること、中小への政策的配慮を求めたという。
日商の調査によると65%の企業が人手不足で、その割合が5%ずつ上がっていること、6割の企業が人手不足なので賃金を引き上げたという、「多くの企業で業績が改善していない。我々はこれを防衛的賃上げと呼んでいる。」と、やむを得ず賃上げに踏み切っている現状を訴えたという。
また三村会頭は残業時間の規制にも懸念を表明した。政府に何とかしろとの要請には人手不足にために外国人を多く入れろという要請もあるようだ。
日本経済が成長するどころか、縮小しているのは企業の設備投資が行われず、その結果生産性が上がっていない事が問題なのである。設備投資をせずに労働時間だけ長くなる経営にいや気がさして若者が地方を出るのである。生産性を上げ、賃金を挙げて初めて利潤が拡大するのである。そうでなく労働時間だけ延長するような企業は潰れて当然なのだ。
日本経済のデフレは企業が省力化投資を控えているところに原因がある。日商会頭は傘下の企業に対し生産性を上げるための投資を促すべきで、政府に政策的配慮の問題ではないのである。
先進国でなぜ日本だけが生産性が上がっていないのか? それは経営団体が長時間労働にこだわるからなのだ。省力化の投資をしない経営に問題があるのであって、外国人労働力を入れるのは間違いで、それでは生産性が高まらず、日本経済が成長しないのである。
つまり「働き方改革」で残業代をゼロにする方向が間違いで、どんどん最低賃金を挙げて設備投資を促すことで人手不足を解決するのが正しい。
日本の財界は長時間労働にこだわって日本経済の成長を削いでいることを指摘しなければならない。必要なのは外国人労働力を入れることではなく、設備投資・省力化投資が今必要な事なのである。そのためには最低賃金を大幅に上げて設備投資がペイする環境を整えなければならないのである。
外国人労働力を入れることは犯罪が増え、治安が悪化し、社会的費用が増えるだけで、内需が拡大するわけではないのである。中小企業の「悲鳴にも近い人手不足」を解決する、その解決策を日商も政府もはき違えているのである。答は大胆な設備投資をすることなのだ。
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