戦前の日本は労働運動は非合法でした。戦後日本を占領統治したアメリカ軍(GHQ)は日本の軍国主義が復活するのを阻止するため民主化を「戦後改革」として進めました。この戦後改革には地主階級をなくするための農地改革、財閥を解体する経済改革、民主的法整備の司法改革、民主的な教育制度を作る教育改革、そして労働改革等があります。
労働改革は憲法・労働組合法で労働3権(団結権・交渉権・スト権)を保障し、労働者階級の力=労組を強化することで、継続的賃上げを実現し、そのことで個人消費を高め、国民経済の急成長(戦後復興)を保障しました。また労組の争議宣伝に刑事免責・民事免責を認め労組を保護しました。
労働組合法は第7条で労働者の団結権を守るために、使用者による組合員への不当な攻撃や組合への支配・干渉、組合員であることを理由とする不当な差別=「不利益取り扱い」などを「不当労働行為」として禁止しています。この不当労働行為には不利益取り扱い、団体交渉拒否、不誠実団交、組合への支配介入があります。現在新世紀ユニオンでは以下の2つの事案を不当労働行為であるとして闘っています。
上ヶ原事案ではAさんが組合員であることが分かると退職を強要し、退職届を書かせようとし、また看護師詰所会で吊るし上げて排斥し、Aさんをうつ病にし病院を追い出すことに成功しました。現在兵庫地方労働委員会で救済申し立てを行い闘っています。来年にも証人尋問があります。この結果次第ではパワハラ看護師達への慰謝料請求訴訟も闘うことになります。
照明の設計会社の事案では、組合員であることが分かると仕事を取り上げ、Aさんに嫌がらせを繰り返えしました。新世紀ユニオンが書面で社長のパワハラに抗議し、他の社員の残業代を労基法に基づいて支払うよう求めると、会社は「新世紀ユニオンには交渉権がない」「弁護士法違反だ」と主張したうえで、Aさんを解雇しました。違法解雇は明白なので現在大阪地方労働委員会で救済を申し立て闘っています。
労働組合員が職場で組合活動を行う上で、この「不当労働行為」(労組法第7条)の法律的保護の枠組みを活用して闘うことが重要となります。裁判だと弁護士を買収したりして敗北することがありますが、地労委はユニオンが申し立てて闘うことができます。したがって費用もかかりません。一般的に経営者はユニオンを嫌悪して、組合員に様々な攻撃(不当労働行為)をしかけてきます。
新世紀ユニオンは労働裁判で弁護士に裏切られた経験から、この間交渉・団交で2件解決金を得て解決しています。今後闘争戦術の多様化を図り、できるだけ時間と金のかかる裁判は回避し、団体交渉での早期解決を図りたいと考えています。地労委での闘いもこうした戦術の多様化の実践です。地労委での証人尋問の時には傍聴をお願いすることもありますので、組合員の皆さんの協力をお願いします。
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