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協業避止義務についての考え

 最近各企業とも入社時に会社の秘密を社外に漏らさない為の誓約書に署名させています。また退職時には会社の顧客に接触しないとか、同業企業に就職しないこと等の誓約書にサインさせる会社も増えています。したがって退職後再就職探しで自分のスキルが生かせる会社への就職を諦める労働者も少なくありません。

 そのような話を聞く機会が増えたので協業避止義務についての考え方を整頓することが重要と考え、書くことにしました。

(1)協業避止義務とは労働者が使用者(=会社)と事業内容が競合する会社に就職したり、自ら事業をいとまない義務をいいます。在職中の労働者には労働契約にもとずく信義誠実の原則(労働契約法3条4項)に付づい義務として使用者の利益に著しく反する協業行為をしてはならない義務があります。

 以前運送会社の支社で働いていた人が、自分の運送会社を作り、仕事中に自分の会社の営業をしていて懲戒解雇されたことがありました。このような場合は協業避止義務違反であるだけでなく、誠実義務違反ですからユニオンとして闘うことはできません。つまり就業規則に在職中の兼業禁止が定められている場合懲戒処分や損害賠償請求がされる場合があります。

(2)在職中に競合する会社の設立準備を行い、退職後競合会社を作り顧客をのほとんどを奪い取る例がありました。以前働いていた会社の利益を著しく損ねるこのような行為は損害賠償されることがあります。

 最近の事例では社長のパワハラに腹を立てた社員が退職し、顧客名簿付きで同業他社に就職、その為会社の売り上げが9,000万円も減少する例がありました。この2つ(1)と(2)の場合いずれも損害賠償はされませんでした。つまり協業避止義務による損害賠償は立証が難しく、実際には損害賠償はほとんど行われていません。

(3)賃金が安いので所得を補てんするために兼業(=ダブルワーク)する労働者が増えています。使用者事業と競合しない限り兼業は自由です。就業規則に兼業を禁止していても、労働者には職業選択の自由がありますので、ダブルワークは本業に支障がない限りで自由です。

(4)退職後に自分のスキルを生かすため以前と同じ事業の会社に就職することは、職業選択の自由が憲法で定められているので自由です。

 ただし退職時に誓約書や合意書を書かされている人は、注意が必要で、この場合は違う業種、つまり以前の会社が先物取引の会社であれば、今度は証券会社にするとか、業種を変える必要があります。業種が違えば誓約書には縛られません。

 労働者はこうした退職時に協業避止義務の誓約書に安易に署名捺印すべきではありません。また退職の理由が上司のパワハラであるのに、会社理由の退職を条件に協業避止義務の誓約書にサインさせるような場合、この誓約書は労働者の自由意思に基づくものとはいえず、したがってこの誓約書は拘束力を持たないと解することができます。

 つまり協業避止義務は使用者の合理的利益が損害を受けた証明が必要で、そのような秘密に接する地位にあったかが重要になります。
 (まとめ)
退職後の協業避止義務による誓約書が、労働者の職業選択の自由を妨げるので無制限に拘束するものではない。とくに平社員は社内機密に接していないので(せいぜい顧客情報ぐらいなので)誓約書を気にしなくてもよい。

 この誓約書を気にして自分のスキルが生かせる仕事を諦める人がいるが、それは間違いである。特に前の会社の所在位置と、あらたに働く会社の所在位置の都道府県が違う場合は協業避止義務による咎め立ては出来ない。都道府県が違えば協業業種であっても会社の損害がないので関係ないことになる。

 ただし会社の役職者で、会社の機密に接してきた人は機密保持の誓約書は退職後も拘束するので注意が必要である。しかし平社員の場合は退職後の協業避止義務はまず関係がないので、わざわざ自分のスキルが生かせない仕事の再就職先を選ぶ必要はない。

 組合員は、具体的にはユニオンに相談して判断するようにして下さい。
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