ユニオンの専従をしていると時々「この人は何のためにユニオンに加入したのか?」と思える組合員がいます。
(例1)「残業代請求」の団体交渉を申入れたところ相手企業が、委託契約だと団体交渉を拒否しました。明らかな不当労働行為でしたので、地労委に申立てし残業代を取ろうと、書面を作成し、組合員を呼んだらメールに返信もありません。しかし組合費は振り込まれてきます。どうも公的場に持ち込めない事情があるのかもしれません。この人の残業代の請求額は当初2000万円でした。
(例2)「セクハラ」されたと組合員になった女性、話が分かりにくいので時系列で経過を書いてもらうことにしました。出された経過を見ると同棲していた相手の男性に捨てられたので「金を取ろうと」嘘の口実でユニオンを利用したものでした。
(例3)「違法解雇」されたとユニオンに加入した男性の組合員、労働審判で出された相手側の書面には、仕事中に自分の会社の仕事をしていたことが分かり「取り下げ」になりました。ユニオンをだまして「金を取ろう」と企んだが、相手企業が一枚上手で、本人の違法行為の証拠をそろえていたので失敗しました。この人物は弁護士の着手金さえ支払っていませんでした。
(例4)解雇になって、弁護士に依頼して書面を出したが回答がない、と加入した男性教師、その場で内容証明の書面を作成しました。解雇理由証明書の交付を求める内容です。この人はユニオンの団体交渉を求めていたので、その前に解雇理由を特定するのが書面の狙いでした。後で書面送付後の経過を聞いても返信がありません。
どうも内容証明を出していないようです。しばらくして双方の弁護士同士で交渉している旨の報告が来ました。こうしてユニオンに加入したのは、解雇への対処について情報を得るのが目的であったようだ、ということが分かりました。
なぜなら双方の弁護士が交渉している中では団体交渉はできません。どうも弁護士が労働問題に詳しくなく情報を貰うのが目的であったようです。それならそれで目的をきちんと説明しないと正しい対処法を知ることはできません。
(例5)社長のパワハラでうつ病になったとユニオンに加入した男性、ユニオンが団体交渉を要求しようとすると反対します。「社長を呼び出すから出席してくれ、横に座っているだけでよい」と言います。しかも高額の要求をすると言います。ユニオンを脅迫の道具立てに利用しようとの魂胆であることが分かりました。
「ユニオンは団体交渉以外の交渉は弁護士法違反でありできません」とお断りしました。もしこのやり方でお金が取れたとしても、ユニオンの出席者は弁護士法違反か、強要罪か、もしくは脅迫罪で逮捕されるので断りました。
(例6)試用期間が2回も延長されたという男性、明らかに違法な延長なので会社に団体交渉の申し入れをし、本人にも会社から連絡があってもユニオンを通すよう言っておいたのですが、一向に会社から回答がありません。後でわかったのは本人が会社と秘密の交渉をしていました。こうしたやり方が成功するわけがありません。
こうした例が示しているのは、ユニオンに加入して来る労働者にも、悪辣な目的で巧みにだまし、ユニオンを利用しようとする人が多くいると言うことです。こうした人達の特徴は、話し合っていても決して心を開かないことです。いつも探るような眼をします。メールを送付してもまともに回答しません。
こうしたユニオンを利用して「金を取ろう」という人の企みが成功することはありえません。嘘をついてもすぐばれます。しかも新世紀ユニオンのように初めに経過を詳しく聞き、事態を呑みこまないうちに、また証拠を残さないうちは、団体交渉を申し込まないキチンとしたユニオンは、だまして利用することは不可能です
組合員の方は、加入したらまずユニオンとの信頼関係を構築することを心掛けてほしいと思います。ユニオンの専従は、いつも詐欺師のような人達(経営者達や時々は労働者も)を相手にしているので、ただでさえ疑り深くなっています。労働者の闘いは事案に対する指導と被指導の認識を一致することが非常に重要なのです。
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