年休は有効に使用した時と時効にかかった時、また労働契約が終了した時に消滅します。
年休は労基法115条の時効の規定が適用され、付与された翌年度まで繰り越すことができます。したがって、まったく年休を使わなかった時には最大で40日の年休を持っている人がいました。
今回の労基法改正で10日以上年休が付与される労働者には年に5日は取得させるように義務化されましたから、最大の年休日数は2020年4月からは35日ということになります。
古い解釈例規に「就業規則で「年次有給休暇は翌年度に繰り越してはならない」と定めても無効か。」というものがありますが、当然のことですが、このような定めをしても権利は消滅しないと回答されています。
また、年休の使用は繰り越し分か当年度分かどちらから消費されていくかという問題があります。特に規定がない場合は前年度分から消費されていくと考えるのが自然です。
おおむねそのように取り扱われていると思われますが、時にこすい使用者や社労士が「年次有給休暇は今年度分から使用する」のように就業規則に書き込んでいることがあります。
これはこれで有効になりますが、新たにこのような規定を盛り込むことは労働条件の不利益変更となります。このような規定は作らせないことが重要であり、規定がある場合は労働協約や労使の協議で変更させることは一つの前進となるでしょう。
次に退職する場合などに年休を消化する際の注意点です。解雇や退職の場合に年休を取得しようとする場合に「当該20日の年次有給休暇の権利が労働基準法に基づくものである限り、当該労働者の解雇予定日を越えての時季変更は行えないものと解する」という解釈例規があります。(昭和49年1月11日基収第5554号)
すなわち、労働契約終了と共に年休の権利は消滅するので、労働者はその日までに取得しなければなりませんが、使用者が時季変更権を行使することができるのも労働契約終了の日までとなります。
結果として労働者がぎりぎりの日まで年休を取得するように日を指定している以上、使用者は時季変更権を行使できないため、請求に応じて取得させざるを得ないということになります。
スポンサーサイト