3月13日は春闘の大手企業の集中回答日だった。示された回答額は6年連続でベースアップが行われたとはいえ、示された賃上げ額は前年割れが続出した。これは米中の貿易戦争の影響で中国が深刻な景気後退にある中で、電機では12社が全円より500円低い付き1,000円のベアを回答した。マツダは定昇と賃上げを合わせて、月9,000円の賃上げ、トヨタはベアを開示しなかった。
秋には消費税増税が控え、各社とも便乗値上げの非判を恐れ、早めに製品価格を値上げしており、こうした価格の上昇を計算すると消費税分だけ個人消費は減少するのは避けられず。実質賃金はマイナスとなることは避けられそうもない。
安倍政権が賃金アップの音頭を取り、官製春闘と言われながらも厚労省のデータ改ざんで人為的に賃金が上がったように偽装されたが、実際には実質賃金は低下していたのであるから、既成労組の闘わない、話合い春闘の限界がさらに明らかになったと言える。
既成労組が買収され、飼いならされて家畜労組になり果てて、日本の労組はストライキを闘えなくなった。この間賃金は上がらず、労働時間の長時間化と非正規雇用だけが膨れ上がる結果となった。したがって日本の労働者の置かれている条件はますます厳しさを増している。非正規労働が増え続け、最低賃金並みの低賃金労働者の層が増え続けているのだ。
労組の家畜化によって、形骸化した春闘が示しているのは日本の労働者階級の貧困化であり、労働者階級の中の富める大企業労働者と、貧困化する中小労働者の、労働者階級の階層的分化が進んでいる。日本の労働運動は未だ、労働者階級の貧困化を阻止できておらず。労働者階級の中の男女平等も何ら克服できていないのである。
日本の新しい労働運動であるユニオンの運動は、個人加入の労組として、個別労働紛争を闘うレベルを未だ脱しておらず、したがって日本の労働者の組織率を上げるほどの成果を組織政策面で上げるまでに至っていない。日本の労働者階級が自己を闘う労組に意識的に組織する方向に、階級的自覚を高めるための努力が求められているといえる。
新世紀ユニオンはこれまでの反リストラの戦術レベルを上げる組織目標から、時代を切り開く組織戦略を打ち出す局面を迎えていることを指摘しなければならない。その為には個々の組合員が、新しい労組の組織者としてのオルグ活動ができるように、意識的に自己の活働力を高めることが必要となっている。
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