厚生労働省が「非正規」や「非正規労働者」という呼称を使わないことを省内に指示するメールを出していたことがわかった。このメールは今年4月に出されたもので、9月3日の野党合同ヒヤリングで明らかとなった。
メールは「非正規雇用労働者の呼称について」という件名で厚労省内に通知されていた。
その理由は「ネガティブなイメージがある」との「大臣の御指摘があった有ったことも踏まえ、当局で検討していたところ」として、「今後国会答弁等に置いては原則として『パートタイム労働者』『有期雇用労働者』『派遣労働者』とし、これらをまとめる場合は「パート・有期・派遣労働者」という呼称を用いる」とし、「今後『非正規』『非正規労働者』という言葉は用いない」としていた。
野党議員の指摘に対し、厚労省の担当者は「メールについては既に撤回している」などと説明した。
しかし大臣の指摘で「非正規」と言う呼称がネガティブなイメージがあるのは、企業が人件費を削減するため正規社員を解雇し、非正規と置き換えているために、ネガティブなイメージが形成されているのであり、したがって「非正規」と言う呼称が問題なのではない。
自民党の大臣の指摘で、厚生労働省が「非正規」や「非正規労働者」という呼称を使わないことを省内に指示するメールを出したということが問題で、それを取り消して済む問題ではない。
問題は正規雇用を低賃金でいつでも首を切れる「非正規」に置き換える企業の不当な行為が問題なのである。
「非正規」という言葉を使わなければ「ネガティブなイメージが形成されない」と考える厚生労働大臣の思考に問題があることを指摘しなければならない。
重ねて言うが、問題は「非正規」と言う言葉にネガティブなイメージがあるのではない、不当な非正規への置き換えが労働者の反発を呼んでいることを指摘しなければならない。
厚生労働大臣も官僚もどこかピントがずれているのである。つまりこの連中は「非正規」という言葉を使わなければ問題が無いという、ごまかしの政治を行っているということが問題なのである。
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