資本主義の不均等発展が中国の経済的台頭を許し、アメリカのトランプ政権が「アメリカ第一主義」を掲げたことで、覇権の空白地域が生まれた。中国とロシアの軍事地域覇権主義にはまたとないチャンスであり、それが世界を流動化し、不安定にしている。
いまロシアと中国の軍事同盟の動きが出ている。ロシアの弱点は経済力が無いことだ。中国の弱点はアメリカ市場に依存していることである。この2国がアメリカのトランプ政権に対抗している。ロシアは欧米の経済制裁でアジアと中東に向かわざるを得ない。中国はアメリカとの貿易戦争でロシアと欧州を市場として取り込む「一帯一路」戦略しかない。
ロシアと中国は、ユーラシア大陸からアメリカを追い出すことで戦略的利害が一致している。アメリカから防衛力の増強を求められているEUは、最近中国企業のファーウェイに5G製品の公式認証を与えた。
ドイツはロシアから天然ガスパイプラインを引いた。天然ガス代金はロシアのドイツからの工業製品購入資金となる。
トランプの自国第一主義が、裏で巨大なユーラシア経済同盟を促しつつあることを指摘しなければならない。これに対坑するアメリカは、米・日・豪州・インドの「アジア・太平洋戦略」だ。今のところトランプ政権にはロシアと中国の軍事同盟を阻止する外交的動きは見られない。
アメリカ大統領選にトランプよりも大富豪実業家で、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏(77)が「ドナルド・トランプを倒し、アメリカを再建する」ために立候補すると述べた。
ブルームバーグ氏は民主党員であったが、その後共和党員になり、ニューヨーク市長を務め、最近民主党員に復帰している。アメリカ金融資本が、トランプに2期もやらせられない、と決断した可能性がある。
少なくともトランプが2期もやれば、ユーラシア大陸はEU・ロシア・中国の巨大経済同盟が出来上がる可能性がある。つまりアメリカが覇権を維持するには、トランプの「アメリカ第一主義」は障害となるのだ。
アメリカが覇権を維持するには経済発展するアジア地域を握らねばならず、そのためには日米同盟が戦略のカギを握る。アメリカにとってEUから離脱するイギリスよりも、日本との同盟が最重要な局面が生まれている。
ただし、ロシアと中国の軍事同盟は、日本にとっては悪夢となる可能性がある。日本は北と西と南に巨大な軍事大国を敵に回す可能性が出てきた。安倍政権は対ロシア外交を強化して、ロシアと中国の間に外交的にくさびを打ち込むことが最重要となっている。
来年秋の米大統領選が、トランプ再選阻止となるのかどうかが、今後の世界情勢を占ううえでカギとなるであろう。トランプ政権が産業資本家と労働者の逆流現象=巻き返しであるので、米金融資本が本腰を入れて再選阻止へ動く可能性が出てきたと言える。
トランプの「ウクライナ疑惑」や、新しい「トルコ疑惑」がどう展開するかは、再選を左右する事態へとつながる可能性が強い。
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