企業内でのパワハラで労働者の自殺が頻発する事態を受けて昨年5月に改正労働施策総合推進法が成立しました。
この法律はパワハラを①優越的な関係を背景にした言動②業務上必要な範囲を超えたもので③労働者の就業環境が害されること、と定義しています。
その後労働政策審議会の分科会がまとめたパワハラのパワハラの分類と判断例を以下に示します。
(1)身体的攻撃
アウト)ものを投げつける
セーフ)誤ってぶつかる
(2)精神的な攻撃
アウト)大勢の前で威圧的にしかりつける
セーフ)社会的なルールを欠いた言動を注意
(3)人間関係からの切り離し
アウト)仕事を外して長期間別室で隔離
セーフ)新規採用の育成で短期間、別室で研修
(4)過大な要求
アウト)業務と関係ない雑用を強制的にさせる
セーフ)育成で現状より少し高いレベルの業務を任せる
(5)過小な要求
アウト)退職させるため誰でもできる業務をさせる
セーフ)能力に応じ仕事の内容や量を軽くする
(6)個の侵害
アウト)性的指向、性自認、病歴といった機微な個人情報を了解得ずにばらす
セーフ)了解を得て、機微な個人情報を人事担当者に伝え、配慮を促す
このパワハラの分類と判断例は妥協の産物なので、実際には具体的な暴言や行動の証拠がいります。自殺に追い込まれた三菱電機の新入社員が残したメモには上司の「殺すからな」「自殺しろ」「死んだほうがいい」と言われたことが記されていました。
パワハラ上司との面談は必ず録音するようにして証拠を確保することが重要となります。現在新世紀ユニオンではいくつかのパワハラ事案を闘っています。
3年間以上仕事を取り上げられ、保険証を渡さなかったり、の意地悪を繰り返し、精神疾患になった事案や、上司のセクハラ発言や懲罰委員会出頭命令や、長時間労働や仕事場の廃止、違法な転籍、保険証の1年間不支給で精神疾患になり、一方的に退職扱いされた事案です。
「改正労働施策総合推進法」が昨年成立しましたが、この法律自体が罰則がなく、企業の努力義務であり、今後闘いを通じてパワハラ被害労働者に有利な判例を残していくほかありません。そのためには人権侵害の証拠をいかに残すかが重要となります。
パワハラ事案の闘いに組合員の皆さんの協力をお願いします。
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