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◆寺島実郎氏の講演を聴いて思ったこと!

   テレビでおなじみの寺島氏は、株式会社三井物産戦略研究所所長であり、財団法人日本総合研究所会長である。私が今回聴くことになった寺島氏の講演テーマは「日本経済の行方を占う~直面する課題と進路」であった。

 寺島氏はまず世界同時不況の震源地のアメリカがイラク・アフガンの戦争で4843人のアメリカの若者を殺したこと、この戦争のコストが「3兆ドル」(270兆円)と言われていること、さらにサブプライム問題の公的資金の注入が8兆ドルであること、またアメリカの双子の赤字が年間1兆ドルを超えるまでになり、昨年の12月にはアメリカの金利がゼロとなり、日米の金利差がなくなったこと、そして金融工学の行き着く先がサブプライムだったことを語った。

 寺島氏はさらに、アメリカは今急速に衰えており、世界の多極化が進んでいること、そんな中で日本とアメリカの貿易が昨年13.9%を占めるまでに減少したこと、日本の貿易構造がアジアとの関係に比重が移っていること、日本と中国との貿易量がアメリカを上回っていること、そのため日本海側の港湾への物流のシフトが起きていること、また日本とアジアとの人的交流が激増していること、すなわちアジアは大移動時代がきていること等を指摘した。

 寺島氏は日本の弱点はエネルギー、資源、食糧だが、食糧については、蓄積してきた先端産業技術の注入と生産法人などのシステムとしての農業を展開し、自給率を高めること。燃料は水力、太陽光、風力など多様なエネルギーを重視すること。資源は、日本の国土は狭いが海洋の広さは世界8位であり、海洋資源の開発を進めることを提起した。

 寺島氏は、日本の産業政策として自動車以降のプラットフォーム型産業の中核として200人乗りの「中型JET旅客機」の国産化プロジェクトを提案した。これによって新素材、ナノテク、IT、バイオ、エンジンなどが発展すると言うのである。

 寺島氏は講演では触れなかったが、日本の航空機市場への参入はアメリカが許さないのではないかと思う。つまり寺島氏の構想は対米自立が前提になっていると言うことである。氏の置かれた立場では、そこまで講演で踏み込めなかったのだと私は思いました。

 寺島氏は、アメリカの力が急速に衰えていること、アジア大陸と日本の貿易が大半を占めるようになったこと、アジア大移動時代がきていること、そこで日本の戦略的弱点を克服するエネルギー、食糧、資源の自給率を高める政策を語ったのである。これらの寺島構想は、日本の対米自立なくしては不可能であると私は思う。

 今後、世界同時不況で日本とアメリカの貿易は急速に縮小し、日本の貿易額の10%を切るのは避けられない。日本の対米自立の好機が来つつあると、私は確信を持つことができたのである。
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