110号で組合費・拠出金請求事件についてお知らせしましたが、その後さらに審理が進み、新たに原告(当ユニオン)が準備書面(3)を提出しましたので、以下に公開します。
また、合わせて請求内容の拡張を行っていますのでこれについても公開します。
準備書面(3)全文平成21年(ワ)第○○号 組合費等請求事件
原 告 新世紀ユニオン
被 告 N
2010年2月○日
原告 新世紀ユニオン
執行委員長 角 野 守
大阪地方裁判所 第○民事部第○係 御中
原告準備書面(3) 第1 はじめに 被告準備面の(3)は、相変わらず「労働争議には裁判は含まない」などという詭弁を並べたてており被告の常識のなさを証明している。また地方労働委員会(以下地労委)の資格審査のことを被告は「資格認定」と呼び、あたかも新世紀ユニオンが労働組合法2条の要件に適合していないかのように誤った認識を表明している。しかも新世紀ユニオンが地労委の救済を受けられない労働組合であるかのようにデタラメをのべている。滑稽なことに、この「資格認定」を根拠に「動機の錯誤」であるとか「詐欺による意思表示」であるとか、根拠のない主張をなし、「組合加入を取り消す」(被告準備書面4)と主張している。
以下に被告の主張の誤りを明らかにする。
第2 労働争議をめぐる被告の詭弁 当ユニオンは個人加入の労働組合であり、したがって加入してくる組合員は、退職強要・解雇・減給・懲戒処分などの問題を抱えている。一般的に労働者と使用者との間に発生する争いを労働争議と呼ぶのである。個々の労働者が新世紀ユニオンに加入・団結することで個別の紛争であっても争議になるのである。
被告主張の「一労働者個人の問題で使用者と紛争が生じても労働争議とは呼ばない」との論は完全な誤りである。近年の個別労働紛争は被告の主張ではすべて労働争議ではないことになる。もしそれが事実と仮定すると新世紀ユニオンの規約6条7項は適用対象のない規定をわざわざ定めているという辻褄の合わない事になる。実際には各個人が新世紀ユニオンに加入することで、個人の紛争が労働組合と使用者との争議になるのである。とは言え日本の裁判では形式上個人が原告となるので個別紛争としての争議が裁判闘争の戦術をとる場合、個人の裁判と現象するにすぎない。
ストライキ闘争とか法廷闘争とは争議の中の闘争戦術を表現したものであり、これらを包括的に労働争議と呼ぶのである。したがって「法廷闘争」と「争議」を使い分けしているからと「労働争議には裁判は含まない」などという主張にはならない。被告の主張はまさしく中国、戦国時代の公孫竜の「白馬は馬に非ず」という主張と同じ詭弁なのである。
被告は、当ユニオン入会時に「労働委員会での解決を望んだ」かのように主張している。労働委員会(地労委)は労働組合の不当労働行為に関する救済行政機関である。もし被告が言うように個別紛争が労働争議でないとすると、被告は地労委での救済資格がないことになる。つまり被告は個別労働紛争を一方では労働争議であることを認め、他方では、労働争議ではないと主張していることになる。これを世間では「自己矛盾」と呼ぶのである。
第3 被告のごまかしについて 被告は「拠出金」を「報酬」と決めつけている。当ユニオンの組合規約(甲三号証)6条7項は組合の「活動資金」として未払い賃金・和解金・解決金等の10%を拠出する義務を定めている。「報酬」などとは規約には一切書いていないのである。組合員の義務を「報酬」であるかのように言い替えるごまかしをしているのである。
第4 「動機の錯誤」の誤りについて 被告からも、被告の「夫」と称する氏名不詳の人物からも、入会時に「大阪労働委員会に解決を委ねる」との説明を受けたことはない。
そもそも個別紛争が労働争議ではないと主張する者が地労委に解決を委ねるわけがない。また「お金を多く取りたい」と主張する者が地労委に解決をゆだねるわけがないのである。代理権を有する「管○○ユニオン・○○」が東京での団交で合意しているのだから不当労働行為事案ではないのである。地労委は現状回復主義であるので不当労働行為が立証できれば、それを止めることはできる。被告がなぜこのような嘘をつくのか? 地労委に対する無知ゆえの嘘なのであろう。
被告が大阪地労委の「資格認定」を誤って理解しているので書くことにするが、管○○ユニオン・○○のように会社の役職者を組合員としている労働組合は本来労働組合法上の労働組合では無い(憲法の団結権による組合)ので資格認定が重大な意味を持つのである。
被告は以前加入していた管○○ユニオン・○○での聞きかじりの知識か、もしくは記憶違いかで誤った解釈をしているのである。
新世紀ユニオンのように管理職を組合員の対象とはしていない(労働組合法上の労働組合の)場合、大阪地労委の資格審査は、不当労働行為についての審査が終了したあとで手続きが行われる(神戸地労委も同じ)もし資格審査に不備があれば補正を命じられるため、実際には資格審査が問題となることはないのである。つまり被告の言う「資格認定」を受けていなくても通常の労働組合は、いつでも地労委に申し立てできるのである。
被告は当ユニオンのホームページの「セクハラ・いじめにあった時」の「あっせん、調停と表示」していることを「資格認定」とからめて「偽りの表示をして組合に加入させ」「虚偽の表示」などとデタラメな主張をしている。
これは被告の明確な間違いであり、セクハラ問題のあっせん・調停の窓口は、各都道府県の労働省婦人少年室が相談窓口となっており、被告は無知から地労委がセクハラの相談窓口と認識している。つまり二重に錯誤し、「虚偽の表示」をしているのは被告の方なのである。
第5 「許欺」よばわりは難癖 原告準備書は、被告が不当労働行為の意味も地労委のことも理解しないまま、当ユニオンが地労委を利用できないかのように誤認して「大阪労働委員会に手続き関与が出来る」と言ったと嘘を言っている。不当労働行為事案でもないのに言うわけがないのである。
しかし不当労働行為があった時は当ユニオンは地労委をいつでも利用できるし、地労委の救済を受けることはできる。したがって被告の主張する「欺網行為たる虚偽の表示」など一切なく「組合加入が取り消せる」かのような主張は間違いである。
被告の主張は解決金710万円の10%の拠出金を払いたくないため原告に難癖を付けているにすぎない。
第6 被告の結語の誤りについて 被告準備書(3)の結語の、ありもしない「組合費の流用」は、何らの根拠も示すことなく、被告が一方的に主張していることである。したがって立証義務は被告にある。
被告の主張のすべては無知ゆえの難癖であり、労働運動関係者なら噴飯ものの主張なのである。しかも誤った論拠で人を詐欺呼ばわりし、詭弁を並べる被告の意図は理解できない事である。我々は被告の裏に隠れている組織=政党(セクト)名については必ず明らかにするであろう。
当ユニオンは被告に一貫して誠実に対応し、結果被告は710万円の解決金を手に入れ、そして拠出金や組合費を不払いのまま逃走した。この事実は逃れようがない。
本訴訟の訴状が当初の住所地に送達されなかった事実で、すでに逃亡は証明されている。やむを得ず原告は被告の転居先を探すはめになった。
新世紀ユニオンは昨年一年間で100件以上の無料労働相談を受けそれに回答し、一定の社会的役割を果たしている無党派のユニオンである。当ユニオンは結成以来約10年で合計7件の労働裁判を経験している。被告の言う安易に裁判をしているわけではない。平均年間1件に達しないのであるからユニオンの中では少ない方である。
被告が何を持って「独裁」と言うのか書かれていないので分からない・民主的でない理由も示されていない。「動機の錯誤」とか「許欺」だとか「虚偽の表示」だとかは、被告の間違った認識であり、ただの難癖なのはすでに明らかにしたとおりである。
被告は拠出金と組合費の踏み倒しが失敗した腹いせをし、なんとか支払いを逃れようとしているにすぎない。
第7 まとめ 以上のように自己の無知を論拠にした被告の主張はすべて明白な誤りであり、本事案は本来証人を必要としないほど明々白々なことである。当ユニオンに偽名で潜入していた人物の証言など証拠能力は持たないのであり、その上被告の詭弁に満ちた主張と嘘は完全に論破されており、裁判官におかれましてはすみやかに結審をされるよう願うものである。
以 上
請求の趣旨拡張の申立書平成21年(ワ)第○○号 組合費等請求事件
原 告 新世紀ユニオン
被 告 N
2010年2月○日
原告 新世紀ユニオン
執行委員長 角 野 守
大阪地方裁判所 第○民事部第○係 御中
請求の趣旨拡張の申立書
拡張後の請求の趣旨1.被告は原告に対し金72万5000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みに至るまで年5%の割合による金員を支払え
2.被告は原告に対し金30万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みに至るまで年5%の割合による金員を支払え
3.訴訟費用は被告の負担とする
請求の趣旨拡張の原因1.被告が答弁書で毎月3000円の組合費を支払っていたと主張しているので、それを受け入れることとする。
2.被告は当ユニオンの組合員として支払い義務のある組合費及び拠出金を支払わずに逃亡した。当ユニオンはそのため内容証明郵便費用と手間を要した。
被告の転居先住所は郵便局に届けられておらず、当ユニオンは転居先を突き止めるため組合員と手分けして捜索した。原告は組合員の協力を得て何回も奈良に足を運ぶこととなった。現地までの交通費と少なくない時間を費やした。
また転居先を突き止めたことで確認のため新住居地へ確認調査をしなければならなかった。これらの諸費用は5万円を下らない。
3.被告が組合費と拠出金を支払わず逃亡したため原告の新世紀ユニオンは財政的困難に直面し(甲15号証)宣伝費・資料費等を全額削除しなければならなくなった。
このため100年に1度と言われるアメリカ金融危機の全世界への波及によって日本でもリストラが急増した。2009年に当ユニオンは組合員拡大の絶好の機会にも関わらず、宣伝が出来ず、他ユニオンが09年に100人以上も組合員を拡大している中で、当ユニオンは組合員拡大が出来なかった。つまり被告の不払いによる活動上の損害は何百万円にもなるが遺失利益は算出することができないので、組合活動上の障害が生じた損失として25万円を請求することとした。
請求の拡張についてユニオン・ニュース1月号に組合員への周知と意見集約について掲載し、組合員の意見集約を行ったところ反対はゼロであり、全組合員が本訴訟の請求の拡張に賛成した。
以上の状況を考慮して請求を拡張する。
以 上
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