新世紀ユニオン発行のニュース

◆“労災かくし”後日談

 新世紀ユニオンニュース第92号で投稿したように、今夏私の属する会社(建設業)の部署で、建設現場で起きた労災を会社の倉庫で起きたものとして虚偽報告する「労災かくし」が行われた。本事件は私の通報もあり、私の元部長(当時部長)が懲戒処分を受けた。今回は、この不祥事の後日談を投稿する。

 先月、私の後輩が建設現場で軽傷を負った。その現場の職長は被災者を帰宅させ、上司に事故の報告を行った。報告を受けた上司は、被災者の怪我について、少しの様子見を決め込んだ。しかし、数日経っても被災者の症状は治まらなかった。

 最初に記述したとおり、私の部署は今夏「労災かくし」で処分を受けていたこともあり、本件ではこれ以上の隠蔽や虚偽報告はなされることはなかった。結果、当社は1週間も遅れて本労働災害を元請建設会社に報告することになった。当然、元請建設会社は当社の遅れた対応が「労災かくし」に該当するものと大いに立腹し、今後は指名停止処置をとる可能性もあるという。元請建設会社に言われるまま、当社は再発防止対策を約束した。

 先日全部員と協力会社を対象に、本件の周知徹底と再発防止のための会議が開かれた。言わば、「アリバイ作り」のような会議である。本会議において、元部長は「今回の件は、当社の体質が出たもの。黙っていたらいいことがない。今後は些細なことでも報告を徹底してほしい。」と改悛の情を見せた。

 一方、新任の現部長は「事故が発生すれば当社が元請会社からマイナス評価を受ける。労災虚偽の申請した場合は、それなりの処罰をすることになるが、そのようなことはないと信じている。」と作業員にプレッシャーを与えるコメントをした。

 また、「虚偽の申請がない」など、トンチンカンも甚だしい。今夏の労災の件でも、同僚の内では、「あの程度で労災になったのはアイツが初めてだ。○○は手を切って出血しても労災にしなかった。」との会話もあり、また他に身体の一部を切断する事故が起きたときも、被災者は「さすがにコレ隠しきれないから労災にした。」と話したように、「労災かくし」は常態化している。

 当社の「労災かくし」の原因は、1.末端の従業員への責任転嫁と2.成果主義による評価制度にあると私は見る。建設現場での労災は、元請建設会社の労災になる。元請からの評価が下がると、受注に影響するので、労災はかくしておきたいというのが当社の本音だろう。

 そして、会社は労災を起こした社員の評価を著しく下げる制度を取り入れることで、降格・賞与減額を「人質」に従業員への自発的「労災かくし」を促すのだ。よって、いくら会社が「些細な事故でも隠さず逐一報告すること」と警笛を鳴らそうとも、一般の従業員はそれをためらうのだ。

 労災は本来、発生原因が分析・究明され、それが水平展開されることで、同様の事故の再発防止のために活用されることが求められる。しかし、「労災かくし」の場合、それが一切なされず、作業員の身の危険が縮減されないことが大きな問題だ。資本家の行き過ぎた営利追及が生んだ成果主義が、労働者の現実的な身体の危険にまで及んでいるという例だ。
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