菅首相の施政方針演説の内容を聞いていると、解散総選挙が1年以内に行われる政権というのはこんなにもいい政権になるのか?と思わされる。以下はその内容(要旨)である。
<首相施政方針演説要旨>
1. 新型コロナウイルス対策と経済の両立
今後もアベノミクスを継承し、更なる改革を進めてまいります。
2. デジタル社会の実現、サプライチェーン
各省庁や自治体の縦割りを打破し、行政のデジタル化を進めます。
生産拠点の国内立地や国際的な多元化を図るとともに、デジタル化やロボット技術による自動化、無人化を進め、国内に医療・保健分野や先端産業の生産体制を整備してまいります。
3. グリーン社会の実現
わが国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。
4. 活力ある地方を創る
地方の所得を増やし、消費を活性化するため、最低賃金の全国的な引き上げに取り組みます。
5. 新たな人の流れをつくる
海外の金融人材を受け入れ、アジア、さらには世界の国際金融センターを目指します。
6. 安心の社会保障
長年の課題である少子化対策に真正面から取り組み、大きく前に進めてまいります。
所得制限を撤廃し、不妊治療への保険適用を早急に実現します。
すべての女性が輝ける社会の構築に向けて新たな男女共同参画基本計画を年末までに策定します。
また、厳しい状況にある大学生、高校生の就職活動を支援します。
同一労働同一賃金など働き方改革を進めるとともに、就職氷河期世代について、働くことや社会参加を促進できるよう、個々人の状況に応じた支援を行います。
7. 東日本大震災からの復興、災害対策
水害や地震などの自然災害が相次ぐ中で、防災・減災、国土強じん化は引き続き大きな課題です。
省庁、自治体や官民の垣根を越えて、災害の状況を見ながら、国土強じん化に取り組み、災害に屈しない国土づくりを進めてまいります。
8. 外交・安全保障
米国をはじめ各国との信頼、協力関係をさらに発展させ、積極外交を展開していく決意です。
9. おわりに
携帯電話料金の引下げなど、これまでにお約束した改革については、できるものからすぐに着手し、結果を出して、成果を実感いただきたいと思います。
私が目指す社会像は、「自助・共助・公助」そして「絆」です。
そうした国民から信頼される政府を目指します。
そのため、行政の縦割り、既得権益、そして、悪しき前例主義を打破し、規制改革を全力で進めます。
「国民のために働く内閣」として改革を実現し、新しい時代を、つくり上げてまいります。
このように、菅は解散・総選挙を前に、国民にこれでもかと「良い政権」をアピールしたと言うしかない。中でも国民の大半が高いと感じている携帯電話料金の引下げなどは、総選挙向けだと誰もが感じる。
菅政権は、来年秋までの安倍の残りの任期しかない。つまり菅政権自体が安倍の黒幕化を阻止するための派閥ボスたちの「つなぎの政権」だということだ。しかし菅は仕事をして見せることで本格政権になろうという意欲が、総花的で野心的な演説に表れている。
菅首相の失敗は、日本学術会議の任命除外問題で、政権の支持率が10数パ―セントも低下したことだ。政権支持率が70%前後の高いうちに解散・総選挙しておればと、後で悔やむことになるかもしれない。
しかし短い任期までに携帯電話料金の引下げなど成果を示せれば、つなぎの政権で終わることはない、との強い意欲が見える演説だった。
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