仕事で交通事故を起こしたことを解雇の理由にしたり、会社が事故の損害賠償を請求する事例が少なくありません。また仕事上のミスで欠品が出たり、機械が壊れることもあります。こうしたことが起きたときの対処を知っておくことは重要なことです。
この場合のポイントは、仕事の中で事故が起きて、会社に損害を与えても損害賠償は発生しないことを知っておいてください。労働者が注意義務を尽くしていても、交通事故は相手があることであるので、避けられない場合があります。ですから注意義務を尽くして居れば損害賠償義務は発生しません。
ですから会社から損害額を給料から引く、といわれても絶対承諾を与えてはいけません。その前に「考えさせてくれ」といって時間を稼ぎ、労働組合に加入して交渉してもらうことが重要です。
損害金額を毎月給料から天引きしたり、支払い終わるまで辞めさせない、という会社もあれば、事故を口実に退職を迫る会社もあります。事故を口実にした退職強要の事案で当ユニオンは交渉で300万円の解決金で和解した事例があります。
労働者に重大な過失があったときは損害賠償義務を負うことがありますが、それでも発生した損害のすべてを負担しなければならないものではありません。(損害額の半分という判例があります)また損害額を賃金と相殺することは許されません。
また事故の損害賠償が認められた場合でも、労働者の退職の自由は制限されません。ある運送会社は損害賠償全額を給料から少しづつ天引きし、払い終わるまで辞めさせない違法なことをしています。
しかしこれも本人が給料からの天引きに有印の書面で同意している場合は違法にはなりません。ですから安易に同意を与えてはいけないのです。
定年間近の労働者に、会社が得意先と結託し、ミスで損害が出たとクレームをつけさせて、退職金を半分にした事例の相談がありました。この時も本人がそれに同意していたので闘えませんでした。ですから調査や相談もせずに、すぐに会社の損害賠償の話に同意を与えてはいけないのです。
仕事の上での事故による損害賠償は、個々の事例の内容で対応が違いますので、承諾を与えず、その前にユニオンと相談したほうがいいのです。
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