コロナの影響で観光・運輸・外食関係などで赤字決算が続いている。大和総研の試算によると緊急事態宣言が1か月継続した場合の経済損を試算すると、個人消費が約4.2兆円、実質GDPで約3兆円のマイナスになるという。
ところが実体経済が悪いのに、株価は上がり続けている。日経平均株価は2月16日現在で30,467円にも上昇している。コロナの死者が増え続けているのに、リンクしたかのように株価が上がり続けているのだ。これはアメリカも同じである。
一般に実体経済が良くなれば株価は上昇し、実体経済が悪くなれば株価は低下する。ところがコロナ渦で経済が悪化しているのに、株価が上がり続けているのである。
これは世界中の中央銀行が大量のマネーを刷って市場に供給するという「量的緩和」の政策を続けている結果である。あり余ったお金が株式市場に流れ込んでいるのだ。コロナによるバブル崩壊を防ぐために人為的に株価を吊り上げているのだ。日本では日銀が最大の株主になっている。
実体経済がよくなれば株価は上がる、しかし株価を上げても実体経済が良くなるわけではないのである。株価を維持しても赤字企業が黒字になるわけではない。しかし株価を維持すれば株主(=資本家)が破産を免れることはできる、と考えてはいけない。企業が赤字で倒産すれば株主はやはり破産するのだ。それをさせないために経済が回復するまで株価を無理やり維持しようとしているのである。
政府が進めている貨幣の「量的緩和」は、いわゆるインフレ政策だ。やがて物価が上昇する。つまり貨幣の価値が下落するのだ。その結果、国民の預貯金がインフレ分だけ目減りするのである。金持ちの資産の目減りを防ぐための政策が、国民からの収奪で行われていることに、日本の国民は怒るべきである。
日本の国民の、個人金融資産は1,600兆円といわれている。10%インフレが進めば160兆円が奪い取られることになるのだ。日本の国民は怒るべきである。問題はこうした悪辣な政治を、マスコミが一切報じないことである。だから日本国民は自分たちの資産が消えていることを知らないだけなのだ。
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