日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2020」では日本の就業者一人当たりの労働生産性は81,183ドル(824万円)、OECD加盟37カ国中26位となっています。
OECDデータに基づく2019年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、47.9ドル(4,866円/購買力平価(PPP)換算)でアメリカの(77.0ドル/7,816円)の約6割の水準で、順位はOECD加盟37カ国中21位でした。
名目ベースでは前年から5.7%上昇したものの、主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いています。
つまり日本の一人当たり労働生産性(就業者一人当たり付加価値)は、81,183ドル(824万円)で韓国(24位・82,252ドル/835万円)やニュージーランド(25位・82,033ドル/832万円)よりも低くなっています。これは日本経済の凋落を数字で示すものです。
つまり日本の労働生産性は先進国で最低であり、韓国やニュージーランドよりも低くなっています。この原因はどこにあるかというと、日本企業が冷戦崩壊後金のかかる設備投資を控え、規制緩和で残業代を払わない制度(=裁量労働制・みなし労働時間制・非正規雇用)に力を入れたからです。
つまり日本企業は、金を使わずに搾取率を高める方法(=これを「強欲の資本主義」という)ばかり追求したからです。
これを経済学的に言うと絶対的剰余価値ばかり追求したということです。マルクスはその著作「資本論」で、長時間労働=絶対的剰余価値の追求は1日24時間という時間的制限があり、設備投資で生産性を上げる相対的剰余価値の追求の方が企業競争に勝ち、けた違いに利潤が多いことを述べています。
日本の1部上場企業の内部留保が470兆円にも膨らんでいるのはこうした設備投資を回避する強欲の資本主義的経営の結果なのです。強欲が過ぎると生産性を下げ、国民経済を縮小させ、経済的3流国に転落するいい例が今の日本なのです。
資本主義経済は科学技術の発展を生産手段の向上に取り入れ、生産性を高めることで成長します。日本の経営者は強欲病に取りつかれて低い利潤獲得の道を選んだということです。これはバブル崩壊後のリストラ経営の結果でもあります。
つまり日本経済の「失われた20年」とは、資本家のリストラ経営という強欲病の結果であるのです。またそれは、日本の大学教育がマルクス経済学を追放した結果、経済学が日本経済の成長を学問的に導けなくなったということなのです。
ドイツではリーマンショック後マルクスの「資本論」が売り切れ、在庫がなくなったのとは対照的です。資本主義においてはマルクス経済学が今も生きた教材として重要なことを、日本経済の3流国への凋落が教えているのです。
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