職場におけるいじめ・パワハラ・セクハラは、様々な動機があり、いくつかの種類があります。
1.分類すると以下のようになります。(実際には複数にわたる場合が多いです)
① 能力を理由とするもの
② 勤務態度を理由とするもの
③ 内部告発を理由とするもの
④ 部下、同僚を加害者とするもの(ライバル潰し)
⑤ 先輩を加害者とする仕事から離れたいじめ
⑥ 妊娠、出産、産休、育休を理由とするもの
⑦ セクハラと絡むもの(雇用機会均等法)
⑧ 退職追い込みがらみのもの
2.具体的な実例は以下のような人格権侵害が行われています。
(1) 直接・間接の暴行
(2) 言葉やメールによるデマ・中傷による人格否定、侮辱、名誉棄損
(3) 隔離・仕事の取り上げ、無視、人間関係からの切り離し
(4) 業務命令による降格、賃下げ、出向、遠隔地配転など
3.労働者の保護されるべき権利
(1) 名誉・身体の安全(労働契約法5条)
(2) 良好な職場環境
(3) 職場での自由な人間関係を形成する権利
(4) 知識、経験、能力、と適正にふさわしい処遇を受ける権利
4,違法性の判断基準
これは証拠が決定的であり、パワハラの録音やメールや同僚の証言が必要となる。一般的には社会通念(常識)に従い事案ごとに判断することになります。ただしパワハラの内、人事権の行使として行われる場合、裁判所は使用者の裁量を認める場合があるので、この場合人事権の濫用かどうかが焦点となます。
(1) その業務命令が業務上の必要性があるか
(2) その業務命令が不当労働行為や退職強要目的など不当な動機に基づくものであるか
(3) その業務命令が労働者に甘受できないほどの不利益をもたらすか
証拠に基づき、以上の点から判断されます。
5.まとめ
パワハラとの闘いは段階性を踏まえることが非常に重要です。証拠が十分でないまま裁判を闘って敗訴する例が少なくありません。
パワハラを受けている組合員は自分が受けているパワハラの記録(=証拠)を残し、その違法性が明確になるまでは一定の我慢が必要となります。「仕事外し」のように誰が見ても業務上の必要性に基づくとは考えられない場合は十分闘えます。それでも一定の期間我慢して精神的拷問の事実をt蔵ねばなりません。
問題はモラル・ハラスメントのような違法性を証明しにくく、加害者の言い訳ができるような場合は、非常に闘いにくいので、この場合、パワハラがエスカレートするまで証拠を残しつつ一定期間我慢することが必要になります。場合によってはユニオンの指導の下で「抵抗」「反撃」で加害者を挑発し、パワハラをエスカレートさせる試みも必要となります。
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