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法律がパワハラを努力義務にする理由?

 日本の労働法制の多くが使用者側の努力義務になっています。その典型的なのがパワハラです。使用者はパワハラを防止する法律的義務はありますが、実際にパワハラでうつ病になると、労働基準監督署はうつ病の業務起因性をほとんど認めません。労働者が生きている限り「私病」になり、したがって使用者側のパワハラのやり得になります。

 一件だけ新世紀ユニオンの手がけた事案で証拠の録音があり、兵庫の監督署がパワハラによるうつ病を労災認定しましたが、大阪高裁はそれを否定しました。つまりパワハラ事案は二重に闘いにくいのです。精神的暴力を犯罪として禁止する法律が日本にはないためです。

 同じようにマタハラでうつ病になった女性の業務起因性を監督署は簡単には認めません。妊娠を会社に報告した翌日から社長の退職強要が始まったのですが、証拠の録音がなかったため、団体交渉で和解せざるを得ませんでした。

 パワハラを犯罪として禁止する法律があれば、パワハラでないことの立証義務は使用者側になるのですが、現状では禁止する法律がないために労働者側が、パワハラを立証しなければならないのです。重いうつ状態になった労働者に録音せよというのは酷なことであり、ほとんどのパワハラ事案では録音がないので裁判での勝利が難しいのです。

 女性労働者が結婚したことを理由とした解雇は、均等法9条2項で性別による差別的取り扱いを禁止しているため、この場合の立証義務は使用者側になります。つまり労働法制で経営者側の努力義務にしているという事は、表現を変えるとザル法にしているという事です。

 したがってザル法であるパワハラ関連の争議は労働者の側が、万全の証拠をそろえ、かつまた会社側に合法的解雇の証拠を与えないようにしないと勝てません。

 ここで言う会社側の合法的解雇の証拠とは、うつ病で休んでいるのに就業規則で定めた「5日以上休む場合は医師の診断書を提出する」に反し、診断書を出していないことや、労働者が違法行為を隠している場合などのことです。合法的な解雇の口実を与えてはパワハラの証拠があっても勝てません。

 新世紀ユニオンが「ハラスメント防止法を罰則付き・慰謝料請求権付きで制定せよ」とスローガンで求めているのは、裁判での立証義務を使用者側にするためであるのです。

 パワハラについては法律が禁止していないために、①立証義務が労働者側であること、また労災の②業務起因性を監督署がほとんど認めない、という二重の壁があります。

 これがパワハラを努力義務にして(=ざる法にして)いる理由です。それゆえにパワハラ=精神的暴力を罰則付きの禁止法にすることが重要なのです。また同時に被害労働者が自死しなくても労災を認定する労働行政(=労働基準監督署)の民主化も絶対に必要なのです。
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