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普通解雇と懲戒解雇の区別と関連

 労働者の行為・態度を理由とする解雇には、「普通解雇」と「懲戒解雇」の2種類があります。この内、普通解雇は、労働契約法上の解約として位置づけられます。

 これに対して懲戒解雇とは、企業秩序違反に対する制裁としての懲戒処分の中で最も重たい処分としてなされるものであり、両者は本来異質なものです。ただ、現実には、使用者側が懲戒解雇しながら、予備的に普通解雇を宣言する例も増えています。

 懲戒解雇は、就業規則の懲戒条項に基づく解雇(=懲戒権の行使)です。判例では「あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」とされています(フジ興産事件・最高裁平成15年10月10日判決・労働判例861号5頁)また懲戒解雇する場合は、労働者に理由の告知・弁明の機会が与えられなければなりません。

 懲戒解雇は、解雇理由としては、普通解雇の場合よりもより高度なもの、すなわち懲戒処分という大きな不利益を与えてもやむを得ない事由が求められます。普通解雇とは、民法627条1項に基づく雇用契約解約の申し入れです。やむを得ない事由があるときに使用者が一方的に労働契約を解約することをいいます。

 新世紀ユニオンの経験では懲戒解雇で一審で勝訴したら、会社側が審理の途中で予備的主張として普通解雇の有効性を宣言してきました。また3次解雇の通知として、「本書面をもって普通解雇の意思表示」をしてきました。こうして高裁判決では敗訴した例があります。

 この時原告の支店社員が、仕事中にパソコンのゲームをして遊んでいたことを掃除婦の人に見られていたこと、また原告社員が接客態度が強引だとの顧客の新たな証拠が高裁に出されたこと、等が敗訴の理由でした。

 したがって、会社側が懲戒解雇しながら、同時に普通解雇を予備的に宣言してきた時は、懲戒解雇の理由以外に、会社側が新たな理由を捏造したり、探し当てている場合があります。これらの場合は判決まで行くことはリスクが非常に高いと考え、裁判官の和解提案を受け入れる方向で和解交渉した方がいい場合が多いのです。

 なお懲戒解雇の有効要件は以下の諸点です。
(1) 就業規則に根拠規定が存在するか?
(2) 懲戒処分時に処分の理由として使用者が認識していたか?
(3) 懲戒権濫用でないこと(相当性があること)
(4) 懲戒の手続き違反がないこと

 普通解雇は、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認できない」場合には権利の濫用として無効となるが、懲戒解雇ほど「垣根」(=障害)は高くないのです。

 普通解雇表明後に分かった理由、あるいは捏造した理由でも、解雇理由として裁判官は取り上げる傾向があります。ゆえに懲戒解雇と同時、又は審理の途中で被告会社が普通解雇の宣言をしてきたときは要注意です。
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